昴教育研究所の「研究指導」

昴はあなたの論文の最初の読者になります

(1)大学院入試における「研究」の重要性

大学院入試の合否を決める大きな要因としては、①筆記試験(外国語試験+専門に関する論述など)②「研究計画書」そして/あるいは「卒業論文」(あるいはそれに代わる論文)が挙げられます。昴教育研究所は、①の力を伸ばすことに加えて、②の点を徹底してフォローすることで、高い合格実績を上げています。
昴教育研究所の研究科・専攻ごとの合格実績のリンク

「研究計画書」の重要性は、よく知られています。その一方で、「卒業論文」(あるいはそれに代わる論文)の重要性は、あまり知られていません。

1~3月に実施される大学院の多くでは、「卒業論文」や、「卒業論文に代わる論文」の提出が求めらます(以下、両者をあわせて、「卒論相当論文」と呼びます)。そして、この論文は、合否に大きな影響を与えます。

(普通に考えて、2000文字の研究計画書と2万字の論文があれば、どちらの方が受験者の研究能力を判断するために重要か、というのは明らかでしょう。)

また「研究計画書」についても、それを完成させるためには、しっかりとした「研究」が必要になってきます。

昴教育研究所は、このような「研究」に対してサポートするために、「研究指導」を個別指導を利用して実施しております。
*単科生や、研究指導だけの受講を望まれる方には、「オーダーメイド講座5回セット」のご利用をお勧めしております。詳しくは、「入学に関する相談」の際にお尋ねください。
*本科生は、研究に特化したお得な「本科生オーダーメイド講座」をご利用いただけます。「入学に関する面談」の際にお尋ねください。

 

(2)「研究指導」のプロセス

実際の指導では、受講生の研究の進捗状況によってスタート地点は様々ですが、おおむね、以下のようなプロセスを経て進んでいきます。

① 受験する大学院の絞り込み、それに基づいた年間スケジュールのイメージ化

② 先行研究についての相談、把握の手伝い、テーマとしての有効性の検討など

③ 先行研究を実際にインプットしていった中での方向性の模索、軌道修正の必要の有無の検討、全体の構成や目次の作成

④ 受講生による論文の執筆、執筆されたものを読みながら、さらに改善の余地などを検討していく

⑤ 最終的な論文全体に対する添削、メールを通じた指導、大学院入試での面接にあたっての注意事項や、想定される質問や批判への応答の検討

年間を通じて、このように研究を進めていく手助けを通じて、合格の可能性を高めるとともに、一人の研究者として、独立して研究を行うことができるようになっていくための手助けを行っていきます。

 

(3)昴の「研究指導」を受けることのメリット

いくつか、実際の受講者のコメントを、「合格者の声」から引用します。(文章をクリックすると、「合格者の声」につながります。)

私は志望先とは異なる学部出身で、大学卒業は、はるか昔です。(中略)文章は書き慣れていますが、何が作文で、何が論文か、区別できていなかっただけでなく、研究計画書とは何なのかもよく分からないところからのスタートでした。
(東大人文社会系研究科 合格者の声)

論文を書き始める前は不安ばかりでしたが、高橋先生からのコメントをいつも楽しみに頑張ることができました。また、高橋先生の指導から、学部生の時の自分にはなかった研究に対する新たな視点を持つことができるようになりました。
(東大総合文化研究科 合格者の声)

また、大学院入試にあたって必要になる提出論文や研究計画の書き方について、ある意味で政治的なアドバイスがもらえるのも昴に通う利点のひとつです。(中略)自分の場合であれば、指導のおかげで論文の構成が変わり、アカデミックで読みやすくなった、つまりは受かりやすいものになったと思います。(中略)こうした指導のために自分の書いた論文を定期的に読んでもらえることも、執筆の原動力になります。
(東大総合文化研究科等 合格者の声)

現在の日本の「大学入試」の仕組みですと、「学びたいこと」と「進学先」のすり合わせが十分にできず、大学院進学を目指す多くの方において、所属学部と志望大学院や研究内容のミスマッチが発生しているのが現状です。加えて、近年では、一度「社会人」を経由してから、大学院を改めて目指す方も多いでしょう。

このような事情から、大学院入試においては、「研究計画書」や「卒論相当論文」を書くにあたっての、助言を受けられない人が多いようです。昴では、こうした受講生の方たちのニーズにこたえるなかで、様々に工夫しながら、現在の「研究指導」のシステムを形にしてきました。昴の研究指導のメリットとして、以下のような点が挙げられるでしょう。

① 研究に必要な作業がわかる
たとえば何をもって、「先行研究」と呼ぶのか、また、「先行研究」をどうやって探すのか、という点について困っている人は多いでしょう。昴の研究指導は、こういった点について、具体的な文献を挙げながら、先行研究の把握の仕方を相談していきます。もちろん、これは「先行研究」に限った話ではありません。

② 論文や研究計画書の「形式」がわかる
「形式など簡単に調べられる」と考えられがちですが、学術的な論文の「形式」は、「段落冒頭の一字下げ」というレベルから始まって、多岐にわたります。また「引用」をどのように使うか、なども広い意味での「形式」と呼べるでしょう。

院試で研究計画書や論文を審査する大学の研究者たちの中には、形式からの逸脱を厳しく見る人も多いです。ただしこれは、そうした研究者たちが過度に「形式主義」に陥っていることを必ずしも意味しません。こうした形式への準拠の要求は、「形式から逸脱しているけれど優れた論文」に出会うことがあまりにも少ないゆえに発生しています。昴でも、形式をしっかりと守ること、あるいは場合によっては、複数存在するうちのどの形式を採用するのが妥当か、を検討することで、学術的な文章表現、「伝わるように書く」ことの重要性を伝えていきます。

③ 「読者」が得られる。
このページの冒頭に、「昴はあなたの論文の最初の読者になります」という言葉を掲げさせてもらいました。合格者の声でも「自分の論文を読んでもらえること自体が楽しみ」という趣旨の記述は多いですね。

論文を執筆するにあたっては、内発的な動機づけだけでは困難です。やはり、締切があって、それに向けて執筆し、それを読む人がいる、ということが重要です。昴での研究指導は、まずもって、「読む」こと、そして「話す」ことを通じて、受講生と講師が二人三脚で、提出課題を完成させていきます。

④ 院試に要求される研究計画や論文の水準がわかる
昴では、合格者の例はもとより、一次試験に合格しながら、二次試験で不合格になってしまった例も含め、膨大な蓄積があります。そうしたなかで、院試に要求される論文の水準、さらに言えば、特定の大学院に合格するに値する論文の水準まで、かなりの程度把握しております。

これは「院試に受かる論文のノウハウを知っている」ということではありません。「研究」というのは、既存の膨大な研究を、可能なかぎり参照しつつ、同時に、そうした研究がまだ成し遂げられていないことをしっかりと探し、そこで、学術研究の世界を豊かにする営みです。簡単ではありません。だからこそ、過去の事例の積み上げから、「だいたいこの水準に達していればなんとかなるだろう」という目安を持った読者の存在が、院試に向けて研究をする皆さんの力になるでしょう。

 

(4)専門性について問題はないのか

そうは言っても、大学院入試レベルの各学問分野の知識が無ければ、大学院入試の「研究指導」は成立しないのではないか、と考える人もいるでしょう。正しい疑問です。一方昴では、かなり幅広い領域の指導に対応しております。

一つには、過去の指導を通じて、様々な学問分野の知識の蓄積があります。現在研究指導の中心になっている講師は、2000年代初頭より昴教育研究所で勤務し、様々な方の指導にあたっており、その過程で、専門書を読むなどして、広範な領域の論文を理解するための最低限の知識を持っています。

しかしより重要なことは、昴での指導は「教える」ことに主眼は無い、ということです。そうではなく、受講生との口頭および原稿の読解を通じたコミュニケーションにこそ、昴の研究指導の特徴があります。「教える」のではなく、「引き出す」ことこそ、昴の指導の特徴です。専門知識を持たない領域でも、論文を読んで「あれ、ここはつながっていないぞ」とか「こんなことを言えるのか?根拠(参照文献)が足りないのではないか」など、研究計画・卒論相当論文の問題点に気づくヒントは様々に存在しています。

実際に、どのような形でお手伝いが可能であるかについては、一人一人の研究希望テーマ(「まだテーマが十分に決まっていない」という方も大歓迎です。何を学びたいのか、という点も、重要な相談事項と言えます)や進捗状況によっても様々に異なっています。ぜひ「入学に関する相談」の際に、現在の状況を率直にお聞かせください。

 

昴のウェブサイト全体のトップページに戻る

 

東京大学 総合文化研究科(文系) 入試対策概要

昴教育研究所・言語文化研究所の英語・論述・研究指導担当の高橋です。

2018年度大学院入試もついに佳境に入ってくる時期ですね。
昴で主に進学している大学院の入試対策について、少しずつ更新していきます。

初回の本日は、昴の過去の受講生がもっとも多く進学している、東京大学総合文化研究科専攻(文系)の入試対策の概要を記します。同研究科は複雑な構造をしており、入試対策を考えるうえでも、その点を整理しないといけません。

このカテゴリーに入るのは、東大総合文化研究科のうち、「文系4専攻」および「人間の安全保障プログラム」です。

合格者の勉強法などはこちら→昴教育研究所合格者の声

まず先に、全体像をつかんでしまいましょう。東京大学総合文化研究科は、入試という点では、以下の8つにカテゴリー化できます。

・東大 表象文化論コース
・東大 比較文学比較文化コース
・東大 文化人類学コース
・東大 言語情報科学専攻
・東大 地域文化研究専攻
・東大 国際関係論コース
・東大 相関社会科学コース
・東大 人間の安全保障プログラム(HSP)

組織としては、東京大学総合文化研究科の文系コースは「超域文化学専攻」「地域文化研究専攻」「言語情報科学専攻」「国際社会科学専攻」から成り、それを総称して、「文系4専攻」と呼ばれます。またそこに、所属する専攻を任意に選べる、「人間の安全保障プログラム」が加わります。

ただし、「超域文化学」は実質的に、「表象文化論コース、比較文学比較文化コース、文化人類学コース」という3つの間口に分かれていて、語学の問題は共通ですが、専門は異なる問題が出題され、合格人数も別途にカウントされます。

また、「国際社会科学専攻」は「国際関係論コース」「相関社会科学コース」の2つに分かれ、語学は共通ですが、専門は異なる問題が出題され、合格人数も別途にカウントされます。

「地域文化研究専攻」「言語情報科学専攻」は専攻単位で入試問題が作られています(ただし、地域文化専攻の語学入試問題は、超域文化研究科の3つのコースと共通です)。したがって、院試のうえでは、3+2+1+1+1=8つの部門に分かれている、と考えると良いでしょう。

さて、形式的な話だけでは「そんなこと知っている」という方ががっかりしてしまうといけないので、詳細は後日に譲るとして、東大総合文化研究科の合格を目指すうえで、大事なポイントを簡単にお話しておきたいと思います。

(1)研究と勉強の両立を--「提出論文」の重要性

東大総合文化に限らず、冬期に受験を実施する大学院では、「卒業論文あるいはそれに代わる論文」の提出が求められます(以下、「提出論文」と呼びます)。院試では「研究計画書」という言葉と「研究室訪問」という言葉が注目されますが、上記のような提出論文が課せられる大学院の場合、合否の圧倒的な比重は、「提出論文」の出来にあります。「面接対策」という話もよく質問されますが、それも結局、どこまでこの「提出論文」を高い水準で完成させることがポイントです。

過去の事例を分析するかぎり、特に総合文化研究科の上記の8つのカテゴリーでは、(1次試験突破が条件なのはあたりまえとして)この論文の成否が合否を分けると断言できます。「卒業論文」というのは、人生初のまとまった書き物(そうじゃない人もいるでしょうけれど)として、大変愛着もあるものだと思います。しかし、同研究科のいずれのカテゴリーでも、生半可な論文では合格はおぼつきません。

ぜひ昴教育研究所の論文指導を…と言いたいのは抑えつつ、相当にしっかりと論文を準備しながら、語学対策や専門対策にもしっかりと力を入れないといけない、というのが、この大学院の入試の大変なところだと言えます。

(2)どのコース・専攻・プログラムを志望するか――専攻の名前で判断しない

次に基本的なところですが、志望する院をどうやって決定するか、です。「学際的」大学院の代表格とも言える「駒場」ですので、その専攻やコース名は聞き慣れないものであり、その名前を聞いた瞬間に何をやっているのかわかる方もあまりいないでしょう(あるいは名前で思い浮かべていたものと、やっている内容がずれていたりすることもあるでしょう)。

たとえば表象文化論学会の学会誌として位置づけられる『表象』の2018年の号『表象12』の冒頭には、表象文化論研究の先駆的な研究者の一人である、佐藤良明氏のエッセイが掲載されています。そこで佐藤氏は、「表象文化論」という言葉を説明するために、「『それは、21世紀の文学部です。』と言い放ってしまった」というエピソードをご紹介されています。これは筆者としては、「うまいなあ」とも思うのですが、佐藤氏ご自身はすぐに「ちょっと騙してしまったかもしれないと不安になった」と続けていらっしゃいます。(註1)

いきなりマニア的なエピソードかもしれませんが、「〇〇学って結局何なんだろうねー」というのは、内部の人たちもちょっとした会話の枕として使うくらいの疑問だったりします。また、たとえば「言語情報科学専攻」という名前を聞いて、その中の大きな柱の一本が文学研究である、ということを即座に理解できる人もあまりいないかもしれません。

そういった大学院で、志望先を決定する際、一番重要なのは、教員の情報です。実際に所属している先生を見て、自分の研究に合った先生がいるのか、というところをまずは確認しましょう。なお、東大総合文化研究科は、概して、あまり「研究室訪問」を推奨していないようです。(「研究室訪問」については、改めてまとまった量の文章を書きたいと思います。)そのため、説明会にその先生がいらっしゃっていれば「ラッキー♪」ということで、ぜひお話を伺いましょう。

もちろん、昴教育研究所では、「入学に関する相談」の段階から、志望先大学院のご相談にも気軽に応じております。

(3)語学について――まずは、必要な語学試験を把握しよう
本来、試験に必要な情報というのは、自分の力でしっかりと大学院のホームページを見て、そこから募集要項などにたどり着いて…というのが望ましい。しかし、多くの大学のホームページ(実はこれは和製英語なのですが、やはり便利なので使ってしまいますね)は、迷路のようになっていて、たどりつきたい情報がどの階層にあるのからすら…ということがままあります。

というわけで、手っ取り早く。こちらのリンクの下の方に、東大総合文化研究科の募集要項、入学試験案内、提出課題がpdfで入手できます。そちらをご参照ください。(外部リンク:東大総合文化研究科 「修士課程・博士課程への出願」

さて、それはともかくこちらのページでも概要を記しましょう。

〇 英語+第二外国語が必要とされる専攻・コース
・表象文化論コース
・比較文学比較文化コース
・言語情報科学専攻
文化・文学・芸術に関わる研究の場合、たとえばその研究対象の言語はできなければいけないのは当然ですし、その専門が英語圏の対象であっても、第二外国語も使いこなす研究者は山ほどいます。世の中がいくら「英語」(それも「実用英語」)を喧伝しようとも、外国語を複数理解できることは、学問においてとても重要なポイントです。

なお昴教育研究所では、第二外国語として、フランス語のクラス授業、ドイツ語のオーダーメイド講座授業を実施しています。いずれの言語も、未修の状態から昴に入学し、試験までの9か月で間に合わせた人はたくさんいます。

〇 英語のみでも受験できる専攻
・文化人類学コース
・国際関係論コース
・相関社会科学コース
「英語のみ」と言って喜んではいけません。それぞれに、出題のレベルは高く、要求される水準も高いと考えてください。それは、それぞれの専門領域からしても当然のことです。

文化人類学コースが英語のみで受験できるのは、ちょっと面白いですね。どの地域をフィールドと選択するかにもよりますが、この学問領域は、それに携わる人の言語能力に強く依存しています。勝手に理由を推測すると、あまりにも必要とされる言語が多様であることや、大学院入学後に集中的に学んで、そしてフィールドワークに向かわなければならない、といった事情が関わっているかもしれません。

国際関係論・相関社会学科学の両コースも、膨大な量の英語の論文・文献を読みこなして行くことが求められるでしょう。

また、上記の3コースは「英語のみ」で受験できるにせよ、第二外国語を別途選択することができます。たとえばフランス政治を研究する人ならフランス語を、ドイツの環境政策を勉強する人ならドイツ語を選択することで、その語学力を示すことは必須でしょう。

〇 人間の安全保障プログラム(HSP)は?
HSPは、独自の筆記試験は実施せず、TOEFLあるいはIELTSの提出を求めています。入学試験実施案内にはわざわざ以下のような言葉が入っています。

「TOEIC はアカデミックな英語力をはかるものでないため、受理しない。」

メッセージ性を感じる文言です。

TOEICも出題形式が変わり、以前より得点を取りづらくなったと聞きますが、アカデミックな4能力を試すTOEFLやIELTSの得点の伸ばしづらさはそれとは比べ物になりません。かなり早い時期から、計画的に準備に取り組んでいくことが必要でしょう。なお、別の言語の能力を証明する書類も提出できるので、英語より得意な言語(あるいは英語に匹敵する言語)があれば、ぜひそちらでも、資格試験や能力試験を受験して、スコアを計上できるようにしておきましょう。

〇 東大総合文化の語学筆記試験の形式や難易度は?
上述のように、HSP以外は、独自の筆記試験を実施します。細かい話は、改めて各コースや専攻の分析として提示しますが、おおまかな内容を示しておきます。

形式:外国語の和訳・和文の外国語訳・説明問題・専攻によってはライティング
基本的な出題は、文章を読ませて、その理解を問う問題が多いです。近年は英文和訳の比重が高まっていますが、(そして英語以外の言語の場合は、もともと和訳の比重が高いですが)、言葉や文の意味を説明させる問題、要約問題も出題されます。いずれも、「なんとなく単語をつなげてわかったふりをする」式の読解では太刀打ちできません。系統だった文法の理解と豊富な語彙力、そしてジャンルを問わない様々な文を読んだ経験が必要となります。

出題の題材は、専攻によって様々です。国際社会科学の場合、雑誌記事や新聞論説など、骨のあるジャーナリズムの文を読ませることが多いですが、経済学の学術文献のイントロダクションなども出題されます。

超域文化学専攻・地域文化研究専攻などの場合、多岐にわたる学術的な内容が出題される一方で、料理本のイントロが出題されるなど、非常に出題は多岐にわたっています。Mark Mazowerなどの歴史家の文が複数回出題される一方で、近年は、Sarah Ahmedなど、英語圏の文化理論の出題も見られました。学術的な英語に触れている講師からすると、「教えていて楽しい」出題が多いとも言えます。

上記のような試験に対応するためには、「芯のしっかり通った語学力」が必要です。いまだに「院試の語学は専門知識が必要」などという「デマ」を流す人もいるようですが、むしろ、「専門を問わない学術的な内容に対応できるだけのちゃんとした外国語力(文法・論理的読解・語彙力)」を持った人が合格できる試験だと思います。

語学のハードルは、極端には高いものではありません。ただし、しっかりとした学習が必要だと言えるでしょう。当然、昴教育研究所の語学カリキュラムは、その合格水準にたどりつくことを目標として、セッティングしてあります。

さて、不定期連載の最初ですが、本日はこんなところで筆をおくことにしましょう。各専攻の専門試験については、日を改めて記したいと思います。

註1 佐藤良明「二一世紀の文学部」(表象文化論学会編『表象 12』、月曜社、2018)、p7

英語・論述・論文指導担当 高橋

昴教育研究所トップページへ戻る

本科生と単科生

昴では、「単科生」と「本科生」の2通りの受講形態があります。
いずれの形態でも、はじめて受講する場合には「入会金(30,000円、消費税別)」が必要です。
*入会金は初回に払えば、以後払う必要はありません。2013年度以降に昴教育研究所に在籍した方は、入会金のお支払は不要です。
*春期集中特別公開講座の受講には「入会金」を払う必要はありません。別途、春学期等の受講をお申し込みの際にお支払いいただきます。

「単科生」
受講科目によって、料金を合算する受講方法です。各期(春学期10回、夏学期5回、秋冬学期15回)ごとに単位数で受講料を計算します。なお、オーダーメイド講座(このページの下で説明します)のみの受講の場合には、単科生のカテゴリーに入ります。
進路の相談、入試に必要な書類の作成に対する助言・文章チェックなどのカウンセリングを単科生の方が希望される場合には、別途、「オーダーメイド講座(1回80分)」をお申し込みいただく等のお手続きが必要になります。

「本科生」
「英語のみ(本科生E)」と「英語・フランス語両方(本科生EF)」の2通りがあります。本科生は、

・英語のみ、あるいは英語とフランス語の両方のクラス授業が1年間取り放題
・特別講座「論述対策講座」の受講料が半額
・春期集中特別公開講座の受講料が無料
・提出論文、研究計画等の相談、文章チェックを行う「本科生オーダーメイド講座(1回50分)」が2回まで無料、その後は9,900円(税込)で受講できる

という特典があります。

年間を通じて受講する場合は、本科生の方が格段に安く、かつ、受験に向けてしっかりとした準備ができます。また、たとえば東京大学教育学研究科など、9月に入試を実施する大学院を志望する場合でも、複数科目を受講する場合には、本科生の方が料金が有利になる場合があります。

2020年度本科生の受講料金は下記の通り(いずれも消費税別)です。

英語本科生(本科生E)
3~5月入学:35万円
6月入学:32万円
7~8月入学:30万円

英語フランス語本科生(本科生F)
3~5月入学:40万円
6月入学:36万円
7~8月入学:33万円

上記金額および、入会金と諸経費(施設にあてる費用)2万円(消費税別)がかかります。
(「諸規定/学費」もご参照ください。)

「オーダーメイド講座」
講師と受講生が1対1で実施する講座です。
(友人の方などと一緒に、複数名で受講する形態も可能です。この場合、受講人数に応じて料金は割引になります。詳しくは「諸規定/学費」をご覧ください。)

授業内容は「オーダーメイド」です。講師が対応可能なことであれば、どのようなニーズにも対応いたします。たとえば、

・昴で授業を受けたいが、勤務時間等で受講日時が合わない
・語学の初心者なので、個別指導でしっかりと教わりたい
・試験直前に、集中的に対策したい
・研究計画、提出論文等に絞って指導を受けたい
・大学院生だが、自分の専門に必要な文献を外国語で読む手伝いが欲しい
・専門領域の基本知識を学習する手助けが欲しい

などが、過去に実施してきた主たる内容です。

なお、2020年度は、ドイツ語の講座はすべてオーダーメイド講座で実施いたします。

2020年度受講生募集ページに戻る

受講手続きの流れ

昴で受講するための手続きの概要をご説明いたします。

  1.  昴のホームページを見て、メールで面接を申し込む。(お問合せフォーム)昴教育研究所では、最適な受講料で授業を実施するために、インターネットを利用して、少ない人員で事務対応をしております。お電話・受付での対応は原則として行っておりませんので、必ず、インターネット・メールで、面接の予約をしてください。研究分野などは、簡潔な記載でもかまいませんが、詳しく書いていただけば、それだけ面談内容を充実させることができます。
  2.  面談を実施、授業やカウンセリングのシステムについて確認する。ホームページに詳細な情報を掲載しておりますが、担当講師からシステムや授業内容について、詳しく説明いたします。最適な受講の仕方を一緒に考えましょう。
  3.  昴事務局 subaruinst☆gmail.com(☆を@に変える)にメールで受講形態(本科生・単科生・オーダーメイド講座など)と受講科目を連絡する。いただいたお申し込みから、授業料を計算したうえで、必要な金額・お振込み口座・お振込み期日とを連絡いたします。
  4.  銀行に授業料を振り込む。これでお手続き完了です。テキストや受講にあたって必要な事項などをご案内いたします。

2020年度受講生募集ページに戻る

入学募集と年間スケジュール

昴教育研究所は、年間を次の時期に分けて授業を実施しています。

2024年3月末~4月春期集中期(春期集中特別公開講座実施)
2024年5月~7月初旬春学期(全10回)
2024年7月下旬~9月上旬夏学期(全5回)
2024年9月下旬~2025年1月中旬秋冬学期(全15回)

昴での受講にあたっては、入学の相談に関する面談(以下、「入学面談」とします)を必ず実施します。

2024年2月5日より2024年度受講生を募集しております。
水曜日と土曜日の午後に面談を実施いたします。
(予約フォームはこちら

入学面談では、担当の先生から、システムや事務的な面の説明だけでなく、本人の研究分野、進捗状況、語学力、志望大学院などを考慮し、試験の形式や傾向、研究の進め方、読むべき文献の探し方など、総合的な助言をいたします。

以下の理由から、できるだけ早い面談のお申し込みをお勧めいたします。
・院試の情報や志望校を検討できるため、試験の準備がイメージできる。
・授業が始まる前に、文献によるインプットを進めることができる。
・語学学習では、語彙の習得などの自助努力が必要。それを早めに開始できる。

研究にせよ、語学にせよ、力を伸ばし成果を出していくためには時間に余裕をもって取り組むことが大事です。「入学するか決めていない」はもちろん、「大学院を受験するか迷っている」の段階でも、全然かまいません。遠慮なく、面談をお申し込みください。

合格者の声一覧

合格者の声を一覧にいたしました。昴の雰囲気を知りたい方はもちろん、大学院入試について知りたい方も、興味がある研究科の合格者の声から、ぜひごらんください。

*個人情報保護のため、特定可能な専攻名などは記しておりません。

*下記の「声」は合格者の一部の方にご投稿いただいたものです。
閲覧の利便性のために同じ研究科の合格体験記に通し番号を付しますが、合格者実数とは関係ありません。また、番号は時系列などではなくランダムに付します。またもちろん、下記以外の大学院にも進学した方は多数います。

東京大学 総合文化研究科・京都大学 文学研究科・早稲田大学 文学研究科合格体験記

東京大学 総合文化研究科合格体験記 1

東京大学 総合文化研究科合格体験記 2

東京大学 総合文化研究科合格体験記 3

東京大学 総合文化研究科合格体験記 4

東京大学 総合文化研究科合格体験記 5

東京大学 総合文化研究科合格体験記 6

東京大学 総合文化研究科合格体験記 7

東京大学 総合文化研究科合格体験記 8

東京大学 総合文化研究科合格体験記 9

東京大学 総合文化研究科合格体験記 10

東京大学 総合文化研究科合格体験記 11

東京大学 人文社会系研究科、早稲田大学 文学研究科合格体験記

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 1

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 2

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 3

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 4

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 5

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 6

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 7

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 8

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 9

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 10

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 11

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 12

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 13

東京大学 教育学研究科合格体験記 1

東京大学 教育学研究科合格体験記 2

東京大学 教育学研究科合格体験記 3

東京大学 教育学研究科合格体験記 4

東京大学 教育学研究科合格体験記 5

東京大学 教育学研究科合格体験記 6

東京大学 教育学研究科合格体験記 7

東京大学 教育学研究科合格体験記 8

東京大学 教育学研究科合格体験記 (勉強法を中心に書いていただきました)

東京大学 情報学環学際情報学府合格体験記  1

東京大学 情報学環学際情報学府合格体験記 2

東京大学 公共政策大学院合格体験記

東京大学 文学部(学士編入試験)合格体験記 1

東京大学 文学部(学士編入試験)合格体験記 2

東京大学 文学部(学士編入試験)合格体験記 3

東京大学 文学部(学士編入試験)合格体験記 4

東京大学 文学部(学士編入試験)合格体験記 5

一橋大学 社会学研究科、お茶の水女子大学 ジェンダー社会科学専攻合格体験記

一橋大学 社会学研究科合格体験記

一橋大学 言語社会研究科合格体験記 1

一橋大学 言語社会研究科合格体験記 2

早稲田大学 文学研究科、一橋大学 社会学研究科合格体験記

早稲田大学 文学研究科・立教大学 文学研究科 合格者の声

早稲田大学 文学研究科(博士後期課程)合格体験記

京都大学 文学研究科合格体験記

北海道大学 文学研究科合格体験記

東京大学 総合文化研究科合格者の声 (複数の方のコメントをまとめました)

合格者の声(複数の方のコメントをまとめました)

(以上、昴事務局より)

【講師からのメッセージ】

予備校の「合格体験記」というのは、とりもなおさず、その予備校の「宣伝」を目的としたものでしょう。それでも、上記の体験記を読み直すと、それぞれの受講生の顔が懐かしく浮かんできます。(もちろん、こちらにお寄せいただいていない方も含めてです。)

昴ではもちろん、皆さんの合格に役立とうと一生懸命工夫して授業を実施し、提出論文(卒業論文)や研究計画のご相談に乗ってきました。それでも、まずもって、この合格はおひとりおひとりの、大変な努力の賜物だと思います。
(文責:英語・論述担当 高橋勢史)

昴教育研究所トップページへ戻る

東京大学大学院人文社会系研究科 合格者の声

東大修士課程の受験に向け、昴教育研究所はベストの環境を与えてくださいました。私ひとりの力では、合格に至りませんでした。高橋先生には、感謝しかありません。特に英語院試問題演習と論述対策は、提出した解答に個々に丁寧な解説をつけて翌週に返却されます。高橋先生の授業は、解説の明解さ、社会学、美術史、国際関係など幅の広さに加え、英語では点を落とさないポイント、論述では大学人が求める文章はどういうものかが理解できる内容です。受講生の希望を踏まえ、毎回、テキストを手作りする、きめの細かさも昴ならではと思います。

私は志望先とは異なる学部出身で、大学卒業は、はるか昔です。会社勤めの中、やり残したことを取り戻したい、との思いが強くなったのが大学院を目指すきっかけでした。文章は書き慣れていますが、何が作文で、何が論文か、区別できていなかっただけでなく、研究計画書とは何なのかもよく分からないところからのスタートでした。最初に研究計画書もどきを見てもらった、ある先生は「何を明らかにするのか分からない」。研究では明らかに「なる」ものじゃないの? 狙って研究するの? しっくりこないまま昴に通うようになり、高橋先生の「何を明らかにするのかは、みんなが悩む」との言葉に、私の疑問は当然だったと納得したことがあります。「研究が進むにつれ、ずれてくるのは当然として、仮の方向性、着地点を明示せよ」と解釈すべきフレーズだったようです。

このような感覚がつかめないこと以上に、社会人の院試で悩ましいのは、情報の少なさです。独学の時期は自分の学力や伸びがまったく分かりませんでした。高橋先生の英語、論述の添削では、評価、改善点、合格ラインの目安が示されます。気を抜くと論述の評価が下がり、英語には波がありましたが、あきらめなかったのは、合格ラインに食い込む余地はあると、客観的に確認できたからです。

授業以外の勉強は、反省ばかりです。英語は、授業の解説を理解し直し、単語を頭に入れながら何度も読み直すのが一番の方法です。論述は、足りなかった事実を確認、補強し、添削のアドバイスをもとに、すぐにリライトすべきでした。私はいずれも不十分でした。毎週の復習をこなした上で過去問題もしっかり、が王道です。専門用語の暗記は、試験までの1週間ほどでスパートをかけ、なんとかなりましたが、早めに少しずつ始めるべきでした。

英単語は、単語本を単語カードアプリ「Flashcards」に入力して繰り返しましたが、手間がかかりすぎ、授業の英文で覚えるのが近道でした。後半は、英文に和訳、単語の意味、解説を書き込んだノートを読み直す方法に切り替えました。このノートをスマホで写真撮影し、すき間時間に繰り返しました。

昴以外で後押ししてくれたのは自習室です。近くに月極で借り、仕事、睡眠の時間を除いて、できるかぎり長く滞在することを目指しました。提出した「卒論に代わる論文」を数回、書き直した苦しみの場所です。提出論文には、論文公開サイト「Cinii」を使い、担当教官に関わりのある学術誌、学会誌からも引用しました。高橋先生からすすめられた英文書は1冊しか使えませんでした。専攻にもよりますが、ボーダー上なら合否を分けていたかもしれません。

独学をしていた時期は、自分の勉強の方向が合っているのか、不安でしたが、昴に通うようになって、しっかり地に足をつけることができました。仕事と並行して、卒論に代わる論文、英語、論述、専門用語の対策をこなせたのは、方向と直線距離を示してもらえたからです。大学入試を経て、院試の英語は単語を覚えるだけ、と思っていましたが、得点につなげるには、込み入った構文の把握が大切だとも教えてくれました。皆が分からない単語はやり過ごせばいいと落ち着いて試験に臨むことができました。

論文を書くにしても、専門用語を調べるにしても、目指す分野の勉強は時に、脳の領域が広がるような、新鮮な喜びがありました。最初は苦しかった暗記ものでは、繰り返し、たたき込むうちに、固まった脳が溶け、さびついた記憶力が徐々に甦るようにも感じました。「迷った時は高い山を選べ」「粘れ」「1点でも多く」…。支えてくれたのは友や先生の言葉です。高橋先生の授業では、知的好奇心が刺激され、大きなモチベーションとなりました。一歩、踏み出すと何らかの道はひらけ、昴では、ほかでは得られないものが得られました。ものの考え方が広がり、私の意識の上でもターニングポイントとなった数カ月でした。

※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。

※他の東大・人文社会系合格者の方の体験記です。あわせてご参照ください。

東京大学 人文社会系研究科、早稲田大学 文学研究科合格体験記

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 2

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 3

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 4

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 5

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 6

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 7

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 8

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 9

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 10

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 11

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 12

合格者の声の一覧は次のリンクです。

「合格者の声」一覧へ