〔昴に通い始めた経緯〕
私は今までの受験を全て失敗していたので、いざ大学院受験をしようと決めたときに、他大学を受験することに臆病になっていました。しかし、研究環境を鑑みた際、私の研究領域では一橋が一番適していました。そのような状況に置かれているときに昴の存在を知りました。昴に通い始めたのは3年の秋からです。4年次の前期に教育実習があることを考え、成績を伸ばすのに時間がかかる語学は早めに対策をしようと考えてのことでした。
〔英語対策〕
英語は院試演習を3年の秋学期と4年の春の準備講座(?)、そして夏学期を受講しました。大学受験の際に一番足を引っ張ったのが英語でしたので、英語にとても苦手意識がありました。しかし昴での勉強はとても楽しかったです。忙しい大学生活ですので、予習要らずの点はとても好都合でした。
大学受験の際に英語がとても苦手だったので、過去の英語の勉強法を見直しました。私は、自分で単語帳を作ったり、様々な問題に手を出したり、長文を解いても復習をきちんとしていなかったということに気が付きました。そのような反省点からみても、昴(院試演習)は予習が要らない点が魅力的でした。復習だけをきちんとやることにし、とりわけ音読をひたすらやりました。高校で模試の3位以内に入るような友人がひたすら音読をやっていたことを思い出したからです。音読の効果には初めは半信半疑でしたが、やはりかなりあると思います。そこで3年の後期に取り組んだ問題は1問あたり必ず10回は音読をしました。さらに、大学受験の際にやっていた単語帳を作ったり苦手な文法事項をまとめたりするアプローチをやめました。音読の際には、その長文で出てきた単語をすべて覚えることにしました。まず復習1日目に5回行い、2,3日後に3回行い、春休みに全部2回ずつ音読しました。したがって、昴の長文で出てきた英単語に関しては手間をかけずに音読をしながら覚えるというスタンスでやりました。
英単語はその他に、春から院単という市販の単語帳をやっていました。受験までに4回以上は通したと思います。院単も手間はかけないということをモットーに、1周目は手も動かしましたが、2周目からは分からない単語にチェックだけして時短を心がけました。
文法はほとんどやりませんでした。正確には院試演習で問題を解いている際に引っかかった文法事項だけ、大学受験で使っていた参考書で復習しました。つまり、大学受験の際に面倒な勉強法ばかりしていたので、なるべく効率的に、そしてコンパクトにというモットーで英語に取り組んだわけです。
そのような取り組みをした結果、高橋先生に英語は心配ないと言われるレベルになりました。高橋先生はそうおっしゃって下さいましたが、大学受験の際の英語レベルを思い起こすと考えられなかったので、とてもうれしかったですし、大変な自信になりました。
〔論述対策〕
昴の論述対策は春の4回の準備講座(?)と、夏の論述対策のみ受講しました。一橋の論述は主論文と副論文、計2題を3時間かけて試験が行われます。つまり知識はさることながら、専ら論述力を試されている試験です。しかし、ある程度の知識がないと書くことはできません。社会学研究科のそれぞれの分野によって異なるとは思いますが、私の受験した主論文の分野はかなり卒論研究のテーマに寄せてきてくれる印象でした。(過去問分析をきちんと行い、問題の傾向は掴んだ方がよさそうです)したがって、主論文はほぼ卒業論文の先行研究にしっかり目を通すことに専念しました。
一方、副論文の知識を本格的に肥やし始めたのが4年の夏休みに入ってからでした。結構リスキーだったと思います。具体的には3つくらい分野を絞って、それぞれの分野の教員の関心事や著作などに目を通すことをしました。因みに、英語はなるべく手間をかけなかったと書きましたが、論述対策はそれなりに手間をかけました。それぞれの分野やテーマごとにルーズリーフ2枚程の知識ペーパーを作っていました。様々な分野・テーマの知識を身に着ける際は忘れない為にも、おそらくこのくらいの手間は必要不可欠だと思います。結局当日の試験では用意していった分野で書ける問題がなかったのですが、教育実習で勉強した内容で書ける問題があったので助かりました。したがって、副論文に関しては、どこでその知識を得られるか分かりません。もちろん自ら勉強し知識を得ることは必須ですが、大学院受験を決めたら過去問に目を通して、様々なアンテナを張って生活することが望ましいと思います。
私は論述対策をすごく楽しんで取り組むことができた点がとてもよかったと思っています。様々な知識を身に着けることは楽しかったですし、勉強する中でこれからに繋がる様々な関心事が見つかりました。つまるところ、論述対策に関しては昴で論述力を身に着け、自力で知識を身に着けることにつきると思います。
〔研究計画書〕
私はこの合格体験記の随所で院試の勉強の手間をかけないと述べてきましたが、それはこの研究計画書のためです。つまり、卒業論文の勉強時間を院試の勉強時間に取られたくありませんでした。卒論をしっかりやればやるほど研究計画書は案外スムーズに書けます。私は大学院を2校受験(幸いにも両者合格)しましたが、どちらも1週間以内で書くことが出来ました。より良い研究環境の大学院に進学することは大事ですが、良い卒論を執筆することの方がより重要であるという気概で私は勉強していました。卒論をしっかりやればやるほど、院試の主論文や面接に活きてくると実感したので、その勉強法は間違っていなかったと痛感しています。
〔面接〕
一橋の面接は45分でした。はじめに5~10分ほどで自分の卒論までの研究と修論での展望を語るよう言われました。予想していたよりも長い時間でしたが、焦らず5分強くらいで述べることが出来ました。そのあとはひたすら卒論と修論に関する質疑応答が繰り返されました。私が先行研究で取り上げる先生に、卒論について直接、事細かく質問され冷や汗ものでしたが、そのような先生が私の卒論におけるどのような点に関心を抱いてくださるかという視点で面接を受けました。その間、これからの卒論執筆に活かそうと考えながら答えていました。最後に15分ほど史料(古文書)読解がありました。面接の概要は以上ですが、1点アドバイスさせて頂きます。それは、高橋先生にもご助言頂いた通り、分からないところは「分かりません、今後の課題とします。」と答えることです。面接は恐れすぎずに自然体で自分の研究とこれから研究したいことを述べれば大丈夫だと思います。ただし、面接中に、私のように特殊史料を研究で用いる場合は史料読解がありますので、その対策は余念なく行った方が良いと思います。
〔全体を通して〕
私は院試対策を3年の秋から行いました。3年の秋から卒論と英語をひたすら行ってきました。春休みは大好きなバイトもほどほどに毎日図書館で勉強していました。論述対策をし始めたのは4月からです。しかし本格的に始めたのは夏からでした。前期は卒論報告を様々な場所で計4回行ったり、また私は教職課程と学芸員過程を受講していて授業数も多かったりと、大学がある時期は院試対策をほとんどできませんでした。夏は卒論と論述対策に時間をかけました。そのため夏には、英語は院試演習とその復習(音読5回くらい)のみであまり時間をかけられませんでしたので、早めに対策しておいてよかったです。
私のようにたくさん授業数がある方がいると思います。自らの今後の予定を考えながら、英語、論述対策、卒論それぞれにおける短期的計画・中期的計画・長期的計画はきちんと立てておいた方が良いと考えます。
〔最後に〕
私は昴にとても感謝しています。受験自体、そして英語にとても苦手意識とトラウマがありましたが、昴での勉強で自信が付き、変な緊張もせず試験に臨むことが出来ました。高橋先生は私が自信を失った時など様々な言葉をかけて下さいました。それによって自信を持つことが出来たので、とても感謝しています。英語も論述も昴での勉強を基軸にすれば間違いないと思います。英単語や論述の知識に関しては勉強法に困り、何度か高橋先生に相談しました。院試は忙しい大学生活や卒論などを抱え時間があまりないと思うので、回り道は危険です。勉強法に困ったらすぐに高橋先生に相談することをおすすめします。
※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※一橋・社会学研究科の他の合格者の方の体験記です。あわせてご覧ください。