宍戸里佳先生著『独作文でよくわかるドイツ語』と中島万紀子先生著『仏作文でよくわかるフランス語』が東京図書から同時発売されました。(2018年9月刊)
投稿者: subarulc
秋冬学期英語読解B(木曜夜)のクラスは定員に達したため締めきりました。英語読解A(水曜夜)のクラスは若干の残席があります。受講を希望される方は早めにお申し込みください。(8/21 昴事務局)
2018年度本科生の募集は8/15をもって終了しました。秋冬学期は単科生および特別単科生のみの募集となります。
昴事務局のメールアドレスが変わりました。
東京大学文学部学士入学 合格者の声
いざ志望校に合格してみて、昴のありがたみを改めて痛感しています。大人になると、手放しで人に応援してもらう体験自体が貴重です。昴での学習で、その貴重な体験をする機会に恵まれました。
私が昴に通うことを決めたのは、社会人として移動の多い不規則な生活を送っている中で「合格ラインを超える」実力をつけるには、受験対策の方法論で試行錯誤する時間はないだろう、という認識からでした。限られた時間の中でアプローチを誤った場合、軌道修正に時間を取られることが致命的な判断ミスになるだろうと考え、適切な方法論を採用するため昴に指導を仰ぎました。
具体的な勉強法は以下の通りです。
1.フランス語
春学期から中島先生に基礎・構文・読解の3クラスに通い始めました。講座に出席できないことも多々あり、授業のペースをつかむのが大変でした。それでも中島先生の授業のおかげで「楽しく学ぶ」ことができました。中島先生は質問に行くたびに激励してくださり、学習のモチベーションを鼓舞してくださいました。「過去問の傾向からみて必要となる仏文和訳の訳文をまずは作れるようになる」ことを目指して、以下の取組をしました。
(1)欠席回数が多い中で講座受講する際の留意点:
・欠席時の講座資料を漏れなく集めておくこと
・中島先生ご推薦の文法書を使って文法をざっくり思い出すこと(または4月春期集中特別公開講座を受講すること)
・とはいえ自力での文法復習にはある程度で見切りをつけて授業素材の復習の中で詳細を思い出すこと
・フランス語対応の電子辞書を用意しておくこと
・先生方にお願いして欠席日の資料を別日に受領できるよう手配していただき、受領タイムラグを授業日から数日のレンジに収めながら自習する形式で、講座の進行にできるだけ合わせること、できる限り予習もすること
(2)基礎・読解の予習復習手順:
・単語を自力で電子辞書を使って調べる
・ノートに和訳を作る(本格的な仏文和訳をするのが初めてなので、試験本番の手書きに慣れておくため)
・レジュメで論点を確認し訳例と照合する
・目で文章を追いながら訳出を(書かずに)脳内で再現してみて、文章を通しで訳せるようになるまで繰り返す(手作業がない部分なので、これは移動時間などを利用)
・欠席時の確認テストを解いて先生に採点をお願いし、理解上の盲点を把握する
*中島先生ご推奨の手順として「文章音読」「授業で扱った単語で単語リストを作成し書いて覚える」「音声教材を使う」などの身体を使った総合的な基礎訓練法をご紹介いただいていましたが、時間的な制約で手が回りませんでした。
(3)構文の復習手順:
・例文の単語や成句を調べる(授業のノートがあればそれを読む)
・例文を見ながら中島先生ご推奨の和訳を(書かずに)脳内再現できるようにする
・欠席時の確認テストを解いて先生に採点をお願いし、理解上の盲点を把握する
(4)過去問について:
・初見の文章を大目に解きながら定着度を確認し、何を強化すべきか自己評価する
・講座で取扱いのなかった分の問題の解説を、オーダーメイドで中島先生にお願いする
*私の場合はずっと授業の進度から遅れていたので、まずは授業に追いつくことをめざし、追いついたところで初めて過去問を解きました。結果、「問題処理速度が足りない」ことに気づき、本番の試験時間内での完答を目指して以下の過程を加えました。
(5)単語・成句の強化:
・仏検対応の単語集(2冊)・成句集(1冊)を使い、例文が黙読で和訳できるように目で追う(書かない)
*直前期の年末年始のタイミングで3冊分を一巡させました。反復したかったですが、時間切れになってしまいました。
*手で書いて覚える作業もしたかったですが、時間がありませんでした。そのため、「スペリングがよく似た単語」の識別で最後まで苦労しました。
(6)試験本番でやったこと:
・分からない単語は接頭辞や接尾辞を分解して意味を推測する
・文意が取れなかったらそれらしき英語に置換してから和訳してみる
・前後関係から文意にあたりをつけておき、意味を直感で召喚する(最後の手段)
2.英語
元々得意科目ではありましたが、かといって準備不足になることも避けたかったため、高橋先生に適宜ご相談して、他教科との学習量バランスを最適化できるよう努めました。英語の学習にあたっては「大学受験後に学んだ翻訳の方法論をリセットする」「英文解釈の定石を思い出す」ということを心がけ、以下のことをしました。
(1)過去問を解く:
*過去問を入手し、全訳を作りました。出題される英文のレベルや分野、出典などを知るうえでは有効でした。一方で、訳例が手元になかったので、盲点のチェックなどが細かくできず、できれば訳例を入手して照らし合わせた方がよかったと思いました。
(2)『詳解 大学院への英語』(昴教育研究所 高橋勢史 著)を利用する:
*昴の講座には時間的に通えないものと悲観していたので、せめてもの自習教材を確保できたらと思い発売直後のタイミングで購入しました。
*本書の構成は、昴の「英語 構文講座」およそ15~20回分相当の構文解析問題40題、「英語 院試問題演習講座」およそ4回分相当の徹底演習編8題からなっています。本書を使いこなせた場合には、昴の単科授業料換算で11万円強~14万円相当、本書の定価(2400円)との比では48倍~58倍の価値を引き出せるものと思い、じっくり取り組みました。
*具体的な本書活用法は以下の通りです
・全訳をノートに作り、訳例と照合して英文解釈的な和訳の方法論を思い出す
・【多義語、文法項目、成句】を確認する
・ひっかかったところを目で確認して脳内で訳出を再現する
*多義語と成句の抽出は独学が難しい部分で、優れた指導者(高橋先生)に教わること、それによって多義語や成句の抽出・訳出の感覚を育てながら自分でもいわゆる「よい辞書」(有料のオンライン辞書や高スペックモデルの電子辞書)を使って単語をマメに引くことが有効であると思います。
(3)構文・読解・院試演習講座を受講する:
直前の冬期5回分だけ参加することができました。構文・読解は時間節約のためワードで予習の訳文を作成し講義をよく聴くようにし、演習は復習で教材を読み返すにとどめました。音読は手が回りませんでした。
演習講座は、①時間配分の練習になり②返却答案から英文和訳の加点減点の要所を認識し③自分が他教科にどれだけ直前期の時間をさけるか判断する根拠となり④本来ならば時間のかかる訳例と自分の訳文との照合作業について人の手を借りることで時短できる、という点で有用でした。
演習ではコンスタントに高得点を出せていましたが、却って復習の仕方が分からず、単語や成句や文法事項をさらに手当てしたほうがよいのか悩んでいました。高橋先生にご相談したところ「英語はこれ以上やらずに第二外国語を全力でやるように」という助言をいただき、思い切ってそちらに注力することができました。自分一人の学習ではそのような思い切った決断は不可能であったと思います。
3.小論文
以下の取組をしました。
・高橋先生の講義動画を視聴する
・昴の論述対策講座を利用する
・返却答案をワードでリライトする
・高橋先生が推奨されたり言及されたりした参考文献をできるだけ読む
*合格ラインを超えるようになってからも時間内に書ききるのに苦労していたので、直前期まで受講して処理速度の向上を図りました。
*高橋先生が作成してくださった想定問題は実際の過去問よりも難度が高く、論述での伸び悩みを感じることになりましたが、本番の問題を見たときに「想定問題を解いておいてよかった」と思いました。
*参考図書を読むことは、元々人文学分野を専攻していなかった自分にとって「人文学的な世界観」に触れる貴重な機会となりました。
*他教科とのバランスの中で「合格ライン超えを目指す」タイプの守りの学習になってしまいましたが、その配分を変更の上、高橋先生のご指導があれば、卓越した論文力をつけることも可能な講座であると感じました。
4.専門科目
以下の取組をしました。
・基本書を読む
・過去問を解いてワードで解答例を作成し適宜アップデートする
*専攻分野の先生方が書かれた基本書からキーワードを抜き出し、それらの論理関係や歴史など概略を理解し、専攻分野の世界観や共通認識を正確に構築するよう努めました。
5.面接試験
高橋先生との面談で、想定される質問や留意点などを洗い出していただきました。「厳しい質問をされるときは、面接官が受験者をある意味研究者として対等に見て接しているということ」という高橋先生のアドバイスのお蔭で、口述試験の質問に答えきることができました。
【最後に】
廣田先生、高橋先生、中島先生の的確かつあたたかなご指導と激励のお蔭で直前まであきらめずに勉強を続けることができました。なかなか学習のペースがつかめない中、繁忙期でも学習が進んでいなくても昴にできるだけ通うことで、学習の方向性を誤らずに済みました。受講生の個別の学習状況を的確に見極め寄り添ってくださった昴の先生方に感謝申し上げます。また、クラスメイトの皆さんにも大変助けていただきました。できるものなら楽しく学べる昴の授業にもっと出席したかったです。ありがとうございました!
※ 送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※ こちらもご参照ください。東大・学士編入合格者の他の合格体験記です。
東京大学大学院人文社会系研究科 合格体験記
かねてからうっすらと希望していた大学院受験を2017年の春に決意しました。大学の学部時代には特段突き詰めたい分野がなかった私は、就職し仕事を経験する中でもっと知りたいと思えるテーマが見つかりました。しかし、仕事上では中堅といわれる位置でいろいろと業務を任され、残業が常態化している生活でした。果たして勉強時間を確保できるのだろうか、という不安がありました。また30代になって身体の不調を抱えていたため、20代のような無理をしないで効率よく乗り越えるための対策も必要でした。
すべて自分で試験対策のマネジメントをするには時間がない、ということで、ある種の“アウトソーシング”をするつもりで昴の門を叩きました。ところが、“アウトソーシング”という言葉を使うのがおこがましいくらい、昴に通った期間は濃密な時間が流れていました。個人的な体験の一端ではありますが、これから大学院を目指される方の参考になれば幸いです。
〈外国語試験対策〉
兎にも角にも最大の難関は英語でした。大学受験以来の本格的な英語対策をせねばならず、英文法も英単語もすっかり抜けていたため、「英語基礎」「英語読解」「英語構文」「英語院試問題演習」の4科目を受講しました。予習は土曜日の講座終了後にすぐやること(家に帰る前にカフェや図書館といった集中できる場所に即向かう)、復習は毎日朝6時に起き出勤前の1時半を使ってやることに決めました。英単語は自転車通勤をあえて徒歩に切り替え、片道40分の道のりは必ず単語帳の音源を聴くことにしました。
受講当初の「院試問題演習」の成績は平均点にも遠く、問題を見ても正直「さっぱりわからない、どうしよう…」といった感じでしたが、日々の積み重ねの成果を信じ上記のペースを維持したところ、入試の数週間前の演習で「あ、わかる」といった実感が得られ、その変化自体が楽しみにもなりました。
高橋先生は授業で音読の効果をよく話されていました。これまでの英語学習で音読を意識したことがなかったのですが、復習の際に「声に出す=自分の声を聴く」ことで、定着を実感できたことが驚きでした。また、高橋先生が6月に上梓された『詳解 大学院への英語』(東京図書)を並行して活用できたことも大変ありがたかったです。高橋先生が英語の授業で示されている板書のポイントがそのままわかりやすく表記されていて、昴の講座と合わせて学習することで自分の理解度をはかることができました。
〈専門科目試験の用語説明対策〉
用語説明対策は以下の四つを行いました。過去問を入手して大まかな傾向を把握した上で、1)自分の希望する専攻の教授陣の著書や論考を読む、2)これまで出題されたキーワードから派生する別のキーワードを意識して調べる、3)分野に関係ありそうな最近のニュース記事を拾う、4)学会の紀要を取り寄せて関係のありそうな文章にあたる、です。院試の段階で学会の紀要を取り寄せることまでするのか、という気もしますが、そこまでの本気度が自分には必要だと考えた結果です。
〈専門科目試験の論述試験対策〉
論述試験対策は過去問を実際に想定時間内で書いてみるというのを繰り返しました。仕事で多少論文に近い文章を読むことはあっても書くことはなかったので、時間と字数の制限のある中で起承転結の文章構造を捉えるのに苦労しました。実際に書きながら自分が書けるテーマの抽斗がどれだけあるか、問題の問われ方によってどの角度から論点を照射するのが良いのかといったことを捉えていった感じです。昴の論述対策講座は受講できなかったため、高橋先生との面接の際に文章を見ていただき、具体的な改善点などをご指導いただきました。
〈面接対策〉
二次試験の面接のために自分の受験の動機を中心に、想定問答を作成しました。ここでも想定問答を高橋先生に見ていただき、面接で問われるポイントをご指導いただきました。意識したのは、なぜこのテーマなのか、なぜここの専攻なのか、入学後どのように研究を進めていくつもりか、といったことです。合わせて自分の性格やこだわりも文章化してみたこともメンタル的に功を奏した気がします。また、家族に面接官になってもらってシュミレーションを幾度かやりました。話す際のスピードや目線、間合いの取り方を意識することで自分の癖に気づくことも大事かもしれません。
〈研究計画書・卒論に代わる論文〉
研究計画書は見やすさ、伝わりやすさを意識しました。これは最初に大学院に提出するプレゼン資料であり自分の方向性を簡潔にまとめたものでもあるので、後に提出した論文の作成時や面接対策時にブレがないか確かめるためにも都度参照していました。
論文は学部時代の卒論とは全く違うテーマだったので一から書いて提出しました。一番の問題はここでも資料を読む時間の確保でした。平日の就業後や仕事のない日曜日を集中的に論文執筆にあてました。章立てと各章の骨格を決め、そこで取り上げる論点と資料を定めて書き進めました。高橋先生にも参考文献のアドバイスをいただき、添削をしていただきました。
〈最後に〉
すでにある生活スタイルのどこに勉強を組み込めるかを考え、それを実行することがいい結果につながったように思います。特に社会人で仕事をしながらの挑戦だと、勉強や本を読むの時間を要所要所で自動化し、余計なことを考える暇を省くことも必要かと思います。昴の講座を受けた期間に、自分なりの勉強のスタイルやタイムマネジメントの工夫を発見できたことも大きな収穫でした。また、授業中に高橋先生が話される現代思想やそれに関わる本の話、野球に絡むたとえ話が面白く、好奇心が掻き立てられました。学習意欲と研究へのモチベーションを高めてくださった高橋先生に心から感謝申し上げます。
※ 送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※ 他の東大・人文社会系合格者の体験記です。あわせてご覧ください。
一橋大学大学院 社会学研究科 合格者の声
〔昴に通い始めた経緯〕
私は今までの受験を全て失敗していたので、いざ大学院受験をしようと決めたときに、他大学を受験することに臆病になっていました。しかし、研究環境を鑑みた際、私の研究領域では一橋が一番適していました。そのような状況に置かれているときに昴の存在を知りました。昴に通い始めたのは3年の秋からです。4年次の前期に教育実習があることを考え、成績を伸ばすのに時間がかかる語学は早めに対策をしようと考えてのことでした。
〔英語対策〕
英語は院試演習を3年の秋学期と4年の春の準備講座(?)、そして夏学期を受講しました。大学受験の際に一番足を引っ張ったのが英語でしたので、英語にとても苦手意識がありました。しかし昴での勉強はとても楽しかったです。忙しい大学生活ですので、予習要らずの点はとても好都合でした。
大学受験の際に英語がとても苦手だったので、過去の英語の勉強法を見直しました。私は、自分で単語帳を作ったり、様々な問題に手を出したり、長文を解いても復習をきちんとしていなかったということに気が付きました。そのような反省点からみても、昴(院試演習)は予習が要らない点が魅力的でした。復習だけをきちんとやることにし、とりわけ音読をひたすらやりました。高校で模試の3位以内に入るような友人がひたすら音読をやっていたことを思い出したからです。音読の効果には初めは半信半疑でしたが、やはりかなりあると思います。そこで3年の後期に取り組んだ問題は1問あたり必ず10回は音読をしました。さらに、大学受験の際にやっていた単語帳を作ったり苦手な文法事項をまとめたりするアプローチをやめました。音読の際には、その長文で出てきた単語をすべて覚えることにしました。まず復習1日目に5回行い、2,3日後に3回行い、春休みに全部2回ずつ音読しました。したがって、昴の長文で出てきた英単語に関しては手間をかけずに音読をしながら覚えるというスタンスでやりました。
英単語はその他に、春から院単という市販の単語帳をやっていました。受験までに4回以上は通したと思います。院単も手間はかけないということをモットーに、1周目は手も動かしましたが、2周目からは分からない単語にチェックだけして時短を心がけました。
文法はほとんどやりませんでした。正確には院試演習で問題を解いている際に引っかかった文法事項だけ、大学受験で使っていた参考書で復習しました。つまり、大学受験の際に面倒な勉強法ばかりしていたので、なるべく効率的に、そしてコンパクトにというモットーで英語に取り組んだわけです。
そのような取り組みをした結果、高橋先生に英語は心配ないと言われるレベルになりました。高橋先生はそうおっしゃって下さいましたが、大学受験の際の英語レベルを思い起こすと考えられなかったので、とてもうれしかったですし、大変な自信になりました。
〔論述対策〕
昴の論述対策は春の4回の準備講座(?)と、夏の論述対策のみ受講しました。一橋の論述は主論文と副論文、計2題を3時間かけて試験が行われます。つまり知識はさることながら、専ら論述力を試されている試験です。しかし、ある程度の知識がないと書くことはできません。社会学研究科のそれぞれの分野によって異なるとは思いますが、私の受験した主論文の分野はかなり卒論研究のテーマに寄せてきてくれる印象でした。(過去問分析をきちんと行い、問題の傾向は掴んだ方がよさそうです)したがって、主論文はほぼ卒業論文の先行研究にしっかり目を通すことに専念しました。
一方、副論文の知識を本格的に肥やし始めたのが4年の夏休みに入ってからでした。結構リスキーだったと思います。具体的には3つくらい分野を絞って、それぞれの分野の教員の関心事や著作などに目を通すことをしました。因みに、英語はなるべく手間をかけなかったと書きましたが、論述対策はそれなりに手間をかけました。それぞれの分野やテーマごとにルーズリーフ2枚程の知識ペーパーを作っていました。様々な分野・テーマの知識を身に着ける際は忘れない為にも、おそらくこのくらいの手間は必要不可欠だと思います。結局当日の試験では用意していった分野で書ける問題がなかったのですが、教育実習で勉強した内容で書ける問題があったので助かりました。したがって、副論文に関しては、どこでその知識を得られるか分かりません。もちろん自ら勉強し知識を得ることは必須ですが、大学院受験を決めたら過去問に目を通して、様々なアンテナを張って生活することが望ましいと思います。
私は論述対策をすごく楽しんで取り組むことができた点がとてもよかったと思っています。様々な知識を身に着けることは楽しかったですし、勉強する中でこれからに繋がる様々な関心事が見つかりました。つまるところ、論述対策に関しては昴で論述力を身に着け、自力で知識を身に着けることにつきると思います。
〔研究計画書〕
私はこの合格体験記の随所で院試の勉強の手間をかけないと述べてきましたが、それはこの研究計画書のためです。つまり、卒業論文の勉強時間を院試の勉強時間に取られたくありませんでした。卒論をしっかりやればやるほど研究計画書は案外スムーズに書けます。私は大学院を2校受験(幸いにも両者合格)しましたが、どちらも1週間以内で書くことが出来ました。より良い研究環境の大学院に進学することは大事ですが、良い卒論を執筆することの方がより重要であるという気概で私は勉強していました。卒論をしっかりやればやるほど、院試の主論文や面接に活きてくると実感したので、その勉強法は間違っていなかったと痛感しています。
〔面接〕
一橋の面接は45分でした。はじめに5~10分ほどで自分の卒論までの研究と修論での展望を語るよう言われました。予想していたよりも長い時間でしたが、焦らず5分強くらいで述べることが出来ました。そのあとはひたすら卒論と修論に関する質疑応答が繰り返されました。私が先行研究で取り上げる先生に、卒論について直接、事細かく質問され冷や汗ものでしたが、そのような先生が私の卒論におけるどのような点に関心を抱いてくださるかという視点で面接を受けました。その間、これからの卒論執筆に活かそうと考えながら答えていました。最後に15分ほど史料(古文書)読解がありました。面接の概要は以上ですが、1点アドバイスさせて頂きます。それは、高橋先生にもご助言頂いた通り、分からないところは「分かりません、今後の課題とします。」と答えることです。面接は恐れすぎずに自然体で自分の研究とこれから研究したいことを述べれば大丈夫だと思います。ただし、面接中に、私のように特殊史料を研究で用いる場合は史料読解がありますので、その対策は余念なく行った方が良いと思います。
〔全体を通して〕
私は院試対策を3年の秋から行いました。3年の秋から卒論と英語をひたすら行ってきました。春休みは大好きなバイトもほどほどに毎日図書館で勉強していました。論述対策をし始めたのは4月からです。しかし本格的に始めたのは夏からでした。前期は卒論報告を様々な場所で計4回行ったり、また私は教職課程と学芸員過程を受講していて授業数も多かったりと、大学がある時期は院試対策をほとんどできませんでした。夏は卒論と論述対策に時間をかけました。そのため夏には、英語は院試演習とその復習(音読5回くらい)のみであまり時間をかけられませんでしたので、早めに対策しておいてよかったです。
私のようにたくさん授業数がある方がいると思います。自らの今後の予定を考えながら、英語、論述対策、卒論それぞれにおける短期的計画・中期的計画・長期的計画はきちんと立てておいた方が良いと考えます。
〔最後に〕
私は昴にとても感謝しています。受験自体、そして英語にとても苦手意識とトラウマがありましたが、昴での勉強で自信が付き、変な緊張もせず試験に臨むことが出来ました。高橋先生は私が自信を失った時など様々な言葉をかけて下さいました。それによって自信を持つことが出来たので、とても感謝しています。英語も論述も昴での勉強を基軸にすれば間違いないと思います。英単語や論述の知識に関しては勉強法に困り、何度か高橋先生に相談しました。院試は忙しい大学生活や卒論などを抱え時間があまりないと思うので、回り道は危険です。勉強法に困ったらすぐに高橋先生に相談することをおすすめします。
※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※一橋・社会学研究科の他の合格者の方の体験記です。あわせてご覧ください。
東京大学大学院 教育学研究科 合格者からのメッセージ
合格するとは、思っていませんでした。
自分の勉強時間は、あまりにも短すぎます。それでも合格できましたのは、本当に先生の懇切丁寧なご指導のおかげです。(春学期・夏学期の英語の読解・構文・院試演習、夏学期の論述対策を履修)
私には大学院受験に際し、大きな2つのハードルがありました。1つは大学の専攻が哲学で、教育学は違う学問の畑であったこと、もう1つは私の大学(東大ではありません)入学が推薦で、いわゆるあの熾烈な大学受験を経験していないことでした。大学院合格は私にとって、この2つのハードルを超えさせてくれたという意味を持ちます。
◎転科と本大学を志望した理由
4年生の4月にここ(昴※)に来たときは、先生には自分が哲学系の大学に行きたいと言っていました。しかし、純粋に哲学を続けられるだろうかという不安がありました。哲学への関心が消えたというわけでは、一切ありません。しかし大学でやっていた哲学の行方がどうなっていくのかは不安でした。哲学体系はいろんなものに複雑にからみ私にそれを理解する力が足りないように思えました。また、哲学系の大学では第二外国語がありますよね。私は大学で第二外国語が必修ではなかったので教職課程ばかり取っており、自力でドイツ語をかじるくらいしかできませんでした。
一方、教育学は英語のみで受験できることが分かっていました。それだけでまず自分が受験するハードルが低くなったかなと思ったのです。加えて、教師になりたい、教師になるならば教育を知りたい、という気持ちから、教育学も研究してみたいという漠然とした関心もありました。そこで転科を決断しました。
各大学のサイトに行って教授の研究分野と修士論文テーマを調べました。開講される授業項目を見ることも良いかもしれません。その結果、一番自分に近い研究を先生・学生ともに行っていると考えたのが東京大学の教育学研究科だったわけです。
実際に教育学研究科にしようと思ったのは、教育実習を終えた4年生の6月でした。6月は研究計画書作成のために本を読み、卒業論文の内容をまとめる作業に追われました。
◎英語の試験対策
使った本『鉄壁』『院単』『大学院入試の英文法(湯川彰浩)』と授業
英語は、院試演習で大体合格圏から安全圏のスコアをいただいていたのであまりウェイトをかけませんでした。予習でわからないところを洗い出し、授業でその解法を聞き、授業の帰りにそれを頭の中で思い出し、時間がありそうな時にノートやプリントを見返していました。しかしそれでも授業ですでに扱っている内容がもう一回出て、解けないということがありました。その時はくやしかったのでその場で覚えてしまいましたが…。
それでも単語力は大学受験をしていなかったため不安でした。単語の基礎として大学入試で有名な『鉄壁』を利用しました。『鉄壁』の良いところは、接頭語・接尾語やイラストなどによって覚えやすいという点です。そこに載っていた単語は大体知っていましたが、すでに知っていると思っていた単語が和訳できない、ということはよく経験します。そのためにも、基礎的な単語を勉強することが必要でしょう。『院単』は大学院入試で必要な単語がまとめられています。言うまでもなく重要です。『大学院入試の英文法』は、お盆休みなどにやっていました。授業で習った文法や訳し方を他の本によって再整理することができました。再整理という観念は、とても大事です。常に複数冊の文献や解説書を見て、片方でわかった内容を深化させ、わからなかった内容を補うようにしましょう。
◎専門科目の試験対策
使った本『よくわかる教育原理(汐見稔幸編著)』など
7月は教育原理の概説書を自分の言葉でノートにまとめる、という作業をしていました。図を描いてみたり、関連事項と結び付けたりすると、よく覚えられます。
恥ずかしながら、試験問題を恐る恐る初めて見たのは7月18日です。試験まで2か月を切っていました。一目見て、何も答えられませんでした。何もアイデアが出てきませんでした。
まず、問いにでてきた概念や人物を調べます。手元に適当な本がなければ、Google Scholarで検索すると良いでしょう。そうすると、その概念や人物に似たもの、対立しうるもの、それらを生かして他の分野で実践されたもの、などが見えてくるはずです。そうしたら、今度はそれらを調べていきます。
次に、より広範な概念、例えばその概念に至る前後の歴史や、その概念の批判するところ、批判されるところなど、を勉強します。まずは幹から(といっても、幹の習得にも内容の多さゆえに時間がかかりますが…)学習し、そのあとに通史で出てきた内容についてさらに論文や各組織の、あるいは文部科学省の資料を読みます。概念の理解には、私はノートを書くよりもとにかく下線を引いて多くの本を読むことに専念しました。概念をつかみ始めたら、いろいろなものとの比較を心がけるようにしてください。例えば生涯学習とリカレント教育の共通する方向性は何か・何が違うのか、という風にです。
それでは塾(昴※)は何に役立ったか。それは全部なのですが、特に添削と内容構成の方法です。論述対策では内容構成の方法について習い、初回から演習が始まりました。内容構成の方法を教わることにより、自分が何をこの段落で書くべきなのか、ということがわかるようになりました。添削は自分ではできません。現代思想をはじめ、自分の手の届かない専門分野に非常に通じていらっしゃる先生の添削によって、論述の論理性だけではなく知識の面でも様々なご指摘をいただきました。添削は自分ですることも非常に勉強になりますが、有償で専門家にお願いすることは非常に有意義です。
◎面会
私は、ある人から紹介をいただいて教育学の大学教授にお話しを伺ったことがあります。自分の大学にも教育学の教授はいましたが、その教授はより自分の研究分野に近いと思われる先生でした。私は入学前に東京大学の先生にお会いした(ママ※)ことは結局できませんでした。しかし一般的に、教授と話をして自分の研究計画なり進行状況なりを見てもらうことは非常に有意義です。
◎入学試験
入学試験の日は、精神衛生的に非常に悪いです。心の中で「受かってやる!」と思ってほしいですが、受かってやるの一辺倒だと、落ちた時、そのショックは計り知れません。心の持ちようは人それぞれですが、確実に言えるのは、あなたが勉強したということは事実であり、その内容は真実であるということです。あなたが勉強したことはどんな形であれ、決してあなたを裏切らないでしょう。
あとは、非常に切実な問題ですが、入試当日はカフェインの摂取を控え、たとえ暑くても水分補給はおさえましょう。試験前にいくら搾りだしても、試験時間中にトイレに行きたくなります(私は英語・専門両方で試験時間中にトイレに行きました)。
◎面接試験
面接試験は、研究計画書に従って行われます。研究計画書の内容と矛盾ない発言を心掛け、計画書と違う内容を言うときは、変わった理由などを示すと良いでしょう。
私は、「なぜ専門を変えたのか」「××(研究対象)に期待あるいは問題をどのように感じているか」「その研究内容について先行研究はないのか」などの質問をされた記憶があります。研究計画書を書いたら試験対策と並行して研究計画書に書いた内容について、自分で本を読んでおくとよいでしょう。
黙ったり、下を向いたりしたら不合格です。先生の質問が難し過ぎて笑ったりしたら不合格です。当たり前ですがスーツ・ネクタイ姿で面接に来ない人は不合格だと思います。
一方で、言葉に詰まっても自分の意見が言えれば大丈夫です。難しい質問をあえて先生が出すこともありますが、先生がそれに対して助け舟を出してくれるようでしたら大丈夫です。面接はあっという間に終わります。短時間で研究への熱意が示せれば大丈夫です。
想定問答集は作るなら最低限度のものにしましょう。予想外の質問が来るかもしれませんし、それを作って時間が無くなるなら英語や専門科目に時間を使って一次試験に受かることを考えた方が良いです。
以上、長々お伝えしましたが、大学院入試で大事なことは、どのように自学自習をするかということです。
大学学部までの入試では、程度の差はあれ予備校が朝から晩まで開講されており、予備校にある程度勉強のペースを作ってもらっていたかもしれません。しかし大学院はその専攻の多さ・専門性ゆえに予備校が勉強のペースづくりを果たすことはできません。大学院受験は、予備校に通おうが通うまいが、予備校のテキストを使わない自学自習が前提になってきます。それでも通う意義というのは、勉強には第三者の目があると客観的に自分の学びが分かるというところにあります。たとえあなたが予備校に通う選択しなかったとしても、第三者に自分の解いた問題を添削なり、解説なりをしてもらわなければ、あなたは正答・誤答を知らず、自分の解法を改善していくことができないでしょう。もし予備校に通う選択をすれば、そのような細やかなケアをしてくれる第三者が定期的に、自分の勉強の進行状況を示してくれることでしょう。どちらでも構わないと思いますが、大学院の予備校がある理由は、まさに自学自習のペースを客観的な立場からサポートするというところにあるのです。
※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。ただし、※印がついた括弧内の三箇所は昴事務局による注釈です。
※ 他の東大・教育学研究科合格者の方の体験記です。あわせてご参照ください。
東京大学大学院 教育学研究科 合格者の声
フルタイムで勤務する社会人として、大学院に進学することを決めたのは3月で、実際に行動を起こしたのは4月からです。最初は大学院入試のために予備校にまで通う必要があるのか、と悩みましたが、受験を決めたからには合格に向けてできる限りのことをしようと決め、いくつかの予備校に話を聞きに行き、最終的に昴にお世話になることを決めました。
こちらでお世話になることを決めた理由は大まかに、①対応の雰囲気がよく、常識的であったこと②講義内容がよかったことの2点です。
- 英語
4月~7月 院試問題演習・構文を受講
復習を中心とした学習をしていました。繁忙期で構文は受講できない時もありました。院試問題演習で扱った問題は夏期開始前に、すべて解きなおし、知識の定着を確かめました。
8月~9月 院試問題演習・読解・構文を受講
予習復習を中心に学習しました。夏期終了後(入試前)に一通り解き直し、理解の甘い部分は以下の参考文献で確認をしました。
参考文献
・ロイヤル英文法 院試問題演習の復習や読解の予習の際に使用しました。
・詳解 大学院の英語 問題を解く時間は取れませんでしたが、授業で気づいた理解が甘かった部分を復習するための参考書として使用していました。
・速読英単語 単語力が無かったため、大学受験時代の参考書を使用しました。CDを聞きながら朝晩、1つずつ音読しました。
- 専門
4月~9月 論述講座
仕事の忙しさにかまけて、専門の勉強を本格的に始めたのは8月からです。おそらく受験生の中でもかなり遅い方でしたが、論述講座でアウトプットの訓練をしていたので直前に身につけた知識まで本番で生かすことができました。(逆に7月までは貧弱な知識で論述の練習をしていたため、知識がなくても何とか書き上げる、ということができるようになりました。 ですので、もし本番であまり詳しくない分野が出たとしても書き上げられるだろう、という自信がありました。笑)
専門の学習は主に文科省のHPと関連書籍を参考にしながら知識を整理しました。ピンポイントに論文を読むのでは、知識が有機的につながらなかったので、まず概観をまとめ、その上で各テーマに関する書籍を読んでいくことで、自身の知識を体系立てていきました。
「頭で整理し、手で書く」というのは、一つの技術です。週に1回論述を書き、添削をしていただくことで「持っている知識をアピールしながら相手に伝わる論述を書く」という力を磨いて頂きました。
英語・論述ともに昴で受講する中で、知らず知らずのうちに出来るようになっていったという感覚です。英語は本番では、辞書がなくとも文意をとることができましたし、論述では毎週書く、ということが自覚している以上にとてもいい訓練になっていたようです。社会人ですと(学生もかもしれませんが…)、勉強時間のコントロールが大きな課題の一つです。毎週必ず昴に行って、少なくともその時間だけは受験勉強に取り組むことの効果は学習においてはもちろん、モチベーションの維持においても大きかったと思っております。
社会人が大学院進学を志す際、相談をできる相手がほとんどいないことが多いと思います。そのような状況で、また限られた時間の中で、勉強のコントロール(方法・時間)のために予備校に通うというのはとても有効な手段でした。また、昴では面談が必須ですが、申込等はすべてメールで行うため、よく考えて納得してから受講することができます。(その場の流れで申し込むということがありません)
最後に、大学院合格を目標として始めた勉強でしたが、学習するにつれてその目標が合格ではなく入学後の研究(もっといえば自身のテーマの探究)となっていきました。合格した今は「海外文献を読めるように英語の勉強を継続しよう」「自身の専門でまだ理解が弱いテーマについて学んでおこう」と思い、早速関連分野の本を読み始めています。
以上、社会人の方が大学院を目指すにあたり、参考になれば幸いです。
※ 送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※ 他の東大・教育学研究科合格者の方の体験記です。あわせてご参照ください。
東京大学文学部学士入学合格体験記
<合格体験記>
今年の春、私は東京大学文学部に学士入学しました。
今年、
学士試験を受けてみようと思い立った最初は独学で英仏の問題を解
このままでは合格はほど遠いと感じた私は、
中島先生のフランス語の授業は1分1秒たりとも気が抜けないくら
受験の前には中島先生の授業のノートを繰り返し読むのが一番効果
高橋先生の論文の授業では、
高橋先生に教えていただくようになってから、
また、
高橋先生は、最近の学士や大学院入試についてや、
大学を卒業してから四半世紀以上が経過していましたが、
学士・大学院入試を知り尽くし、
※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※東大・学士入試の他の合格者の方の体験記です。あわせてご覧ください。