「え?君が東大の院に合格?信じられない」
僕が大学の先生に東京大学総合文化研究科に合格したことを知らせた時に言われた言葉です 笑。
確かに昴に行ってなければ総合文化研究科に合格することは絶対に無かったと思います。受験の二、三ヶ月前、この「合格者の声」を読み、よく励まされました!自分も院試を控えた方々の励みになれれば幸いです。昴に行くか迷っている方、東大の大学院を目指すか迷っている方も自分の勉強方法が参考になれば良いな、と思って書いております。
今回は論文指導、面接対策、詳しい授業内容、研究計画書のテーマ、書き方に関しては昴の先生方が指導してくださると思うので割愛させていただき、総合文化研究科だけでなく、他の研究科を受験する方でも参考になるように3つのテーマに絞りました。
英語を指導して下さった高橋先生には「Kさんはとても英語力が伸びた!」と言われたので、「英語」について、個人的に苦労した「スペイン語」、そして厳しい環境でも東大院試に立ち向かうための「繋げる努力」という三つについてお話ししたいと思います。
~「英語力」は院試一ヶ月前までに仕上げる!~
僕は英語に自信がありました。TOEICも900点近くとっているので、院試の英語なんて余裕だと高を括っていましたが、昴の春学期の「院試問題演習」を受講したところ、はじめの一ヶ月くらいは平均点から20点くらい下の点数でした 笑。
多分、いや、間違いなくビリでした 笑。
8月まで毎回、予想される合格のボーダーラインよりも遥かに低かったです・・・・・・
これはまずい!と思い、自分の答案から弱点を分析したところ
・「単語力」
・「文構造の理解力」
という大きな弱点が2点浮上しました。
まず「単語力」の向上について。これは地道に昴の授業に出てくる英単語を一語一語丁寧にノートに書き込み、家で暗記することでした。昴の授業で使っているノートを、次の日には清書し、英単語のみをルーズリーフにまとめたりしていました。
他には英検一級の単語帳を通学の往復1時間勉強していました。単語力は日々の努力でしか手に入れられません。近道は全くありませんでした。何度も何度も単語帳を見ていると、往復1時間で暗記できる単語がみるみる増えていきました!目安としては通学の片道30分の間に300単語くらい意味を言い当てることができるレベルです。 最初は辛いかもしれませんが、3ヶ月くらいすると、英語の論文を読んでも知らない単語は1ページに2つか3つ、といった感じになりました。
「文構造」に関しては昴の授業で徹底的に勉強しました。「院試問題演習」では高橋先生が丁寧に採点して下さいます。はじめ赤ペンだらけだった答案は、徐々に正解が増えていき、その度にやる気がみなぎっていきました。昴の宿題を丁寧にこなし、「院試問題演習」で取り扱った過去問等を復習するにつれ、英語が頭にすらすら入ってくるようになりました!
昴の授業以外に個人的にやっていた勉強方法は、図書館の洋書をひたすら「1時間で10ページ」のペースで読むことです。それも本の最初の10ページがオススメです。なぜなら、院試の問題の多くは、章の途中からの引用ではなく、章の頭から出題されるからです。そして本の最初の10ページは単語のレベル、文章の抽象度が高いため、院試の問題と同じくらいの難易度だと思います。自分は図書館の「言語学」関連の洋書ならなんでも最初の10ページは読んだことあると思います 笑。
「1時間で10ページ」というペースは、高橋先生曰く、それなりの英語力がないと出来ないスピードだそうなので、もちろん辞書を引きながらでいいので、日本語と同じレベルで理解できれば十分に院試を突破できると思います。(最初は辞書をひたすら引き、1時間に5,6ページ読めればかなり良い方だと思います。)
僕は11月頃に院試問題で一度満点を取り、最終的には毎回8割以上取れるようになりました!英語にかけた時間は、必ず返ってくると実感しています。
そして試験一ヶ月前からは、ひたすら総合文化研究科の過去問を解き、二、三週間前になると東大学部の過去問25年分の「英文和訳」「英文を日本語で要約する問題」を解きました。なぜかというと、総合文化の問題に自分の英語力を適応させるのに一ヶ月はかかると思ったからです。
昴の手厚い指導と「1時間で10ページ」勉強法の結果、試験中に知らない単語があっても「僕が知らないなら、他のみんなもほとんど知らないはず 笑!!」と思えるくらいになりました。それくらいになるまで勉強することが大切だと思います。単語や文章が分からなくてもパニックにならないことが大切です。
~「スペイン語/第二外国語」は、難しくて当然!~
僕が昴に在学していた当時はスペイン語の講座がなかったため、学部4年時の勉強方法を書かせて頂きます。昴ではフランス語とドイツ語の講座があるので、学部で第二外国語が学部の時あまり出来なかった方、社会人で第二外国語についてほとんど忘れてしまった方はどちらかの講座を履修することを強くオススメします。僕のように上記以外の第二外国語を選択した方でも、これから僕が書く勉強方法はすべての第二外国語の勉強方法に共通している部分もあると思います。
僕は大学でスペイン語の講座があったのでそれを受講し、さらに幸いなことに、スペイン語の先生が毎週、院試の過去問の添削をしてくださいました。その時先生に「スペイン語訳は、多少分からない部分があっても、しっかり日本語として伝わる文章にしなさい。」と言われました。僕は、動詞の活用や過去形、未来形など(*さらにスペイン語は過去未来形、点過去、線過去など時制がたくさんあり、それぞれ活用形がある)を覚えることに多くの時間を割くよりも、ひたすらスペイン語の単語を覚えることの方が大切だ、と思い、スペイン語のニュース記事を読んだり、スペイン語の単語帳を購入したりしました。ニュースは、1日100語~200語、サッカーの記事や、経済の話題、映画のレビュー、政治関連の記事などを読みました。毎回読んだ記事はWordに保存しておき、すらすら読めるまで何度も何度も読み直しました。試験3週間前からは西語検定3級のテキストの西文和訳をひたすら解いていました。
そしてスペイン語はロマンス諸語に属する言語であるため、英語の接頭辞や接尾辞と同じものは、意味も極めて近いことが多いです。それゆえ意味を類推することも可能です。わからない単語は文脈と接頭辞、接尾辞を確かめ、その都度、意味を確認しました。そうすることで本番分からない単語に遭遇しても「接頭辞、接尾辞の類推力」は存分に発揮され、それなりの点数は取れていたと思います。あと、スペイン語用の電子辞書を買いました。スペイン語には男性名詞、女性名詞、複雑な動詞の活用があり、語尾変化が多様です。それらを調べる時間を短縮するためです。
ここまで第二外国の勉強法について書かせていただきました。もちろん、完璧な日本語訳にできることに越したことはありません。むしろ、そこを目指して勉強すべきです。しかし、試験中にそうできなかった場合、自分が分かっている部分をしっかり採点者に伝わるように翻訳することが大切なのではないでしょうか。
~「繋げる努力」で合格できる!~
この文章の冒頭でも記したとおり、僕が東大の大学院に入ることに周囲はとても驚いていました。一つは多忙だったからです。大学四年生であったため、教育実習に3週間行き、ゼミ長として、飲み会の企画や集合写真の撮影準備、同級生、後輩の発表レジュメの添削などをこなしつつ、入学金を稼ぐために週に一回、金曜日に飲食店での5時間アルバイトをこなしていました。そんな多忙な学生生活の中、昴で「論述対策講座」と「英語読解」「英語構文」「院試問題演習」を受講していました。さらに卒業論文(約4万文字)を執筆していました。
僕が言いたいことは「時間がない」というのは言い訳だ、ということです。昴には社会人の受講生の方もいらっしゃいました。他の東大院試に備えている人も皆、とても忙しい筈です。多忙な中、院試の勉強時間を取ることは難しいと思います。僕も「時間がない!」と思っていました。しかし、9月の中頃から考え方を変えました。
・「1日のすべての出来事を東大の院試対策と繋げよう!」
例えば、専門科目とバスの中吊り広告を関連づけたり、ゼミでの発表を真面目に聞いて新たな視点がないか考えてみたり、アルバイトで初対面のお客様と上手くコミュニケーションを取れれば、二次試験の面接で緊張せずに意見を主張できることに繋がると思ったりしていました。
昴では先生方が英語や論述対策講座等で幅広い知識を惜しみなくお話しして下さいます。今思えば、自分の専門以外の文学、社会学、政治学、美術、芸術、宗教学、英語学、言語学、文学批評論、などなどのお話が自分の専門分野に役立つものになっています。
もちろん必死に勉強時間を確保することは大切です。しかし、それは受験者全員がやっている努力です。ゆえに合格するにはそれ以上の努力が必要です。昴で学べば、そのような努力の方法も身に着けることができると思います。
~最後に~
最後に、「自分を努力させられるのは、自分しかいない」ということをお話したいです。
まずこのページを見ている皆さんは、あるレベル以上の能力と才能がある筈です。しかし、僕はそうではありませんでした。自大の教授に「君は自分のところの大学院も厳しいかもよ」「君は自分の実力をわかってない」と言われ、さらに他の教授からは「こんな論文書くようじゃ研究者としての素養がない」とまで言われました 笑。でも、僕は東京大学総合文化研究科に合格しました。
誰に何と言われおうとも、自分を信じて勉強していくしかないと思います。結局、東大に行くと決めたのは自分なのですから。
しかしながら、もし昴で勉強していなければ、教授の言った通り東大院を確実に諦めていたでしょう。教授らに上記のことを言われ、自分が東大の大学院を受けて良いのか悩んでいた時、高橋先生に相談したところ「いや、もう勉強しまくるしかないでしょう!気にしない気にしない!がんばりましょう!」と励まして頂いたことがありました。昴では自信を無くした時、先生方がフォローしてくれるのはもちろん、研究テーマについて迷った時も、英語に躓いた時も、親身になってアドバイスして下さいました。「院試問題演習」と「論述対策講座」の採点して頂いたプリントを一度見れば、いかに親身になってくれているかがわかると思います。昴の授業自体への言及が少なくて恐縮ですが、一度ご自身で受講して頂ければ、いかに先生たちが本気で接してくれるかが分かる筈です。
最後に、お世話になった先生方、昴で1年間勉強できて本当に楽しかったです!あのすばらしい場所で勉強したことを忘れずに大学院でも精一杯頑張ります!!これから昴に通うか迷っている方、ぜひ通ってみてください!もう昴に通っていて英語力のなさに落ち込んでいる方、安心して下さい!4月の僕より出来ていますよ!!もうすぐ院試の方!頑張ってください!一緒に勉強できる日を楽しみにしています!
2017年4月
※送られてきた原稿を一字一句変えず、そのまま掲載しています。
※東大・総合文化研究科の他の合格者の方の体験記です。あわせてご覧ください。
東京大学 総合文化研究科・京都大学 文学研究科・早稲田大学 文学研究科合格体験記