東京大学大学院 総合文化研究科「人間の安全保障(HSP)」プログラムの合格者の方から合格者の声をご投稿いただきました。一言一句変えず、掲載いたします。(昴教育研究所事務局)
私のバックグラウンドから話しますと、私は外部大学卒で就職し、社会人としては10年ほど働き、現在も仕事を続けています。多くはないパターン化と思いますがこの体験記が立場や年齢が近い人のお力添えになれば幸いです。
1.志望動機~入塾決意
大学院へ行く理由は人それぞれだと思います。何故卒業して10年の時が経ってから大学院を目指したかというと、(学生時代に修士に進みたかった気持ちがあったこともありますが)社会で働く中で見えてきた課題意識が、院へ行くきっかけのウェイトを占めていました。また、会社の仕事内容の影響もあったため、仕事を続けながら院に行くことを考えていました。
進学することには年齢的な葛藤もありました。しかし、先生との最初の面談で自分が感じていたものがHSPで深められる事であることがわかり、このまま仕事だけで終わる形にせずに研究を深めたいという気持ちが明確になり、入塾を決意致しました。
2.塾での授業
昴教育研究所では個別授業を受け、大学院で研究する内容や入試で提出する論文指導を行っていただきました。
授業は月1回ペースで行い、最初の時期は大学院で具体的にどんなテーマを扱って研究するかを考えていきました。また、関心のあるテーマに沿った書籍が紹介され、それを読み授業でフィードバックを行いながら、研究の方向性を考えていきました。
先生の授業は、知識を教えるというよりも、対話形式で導いてくれる授業でした。例えるならば、自分の関心の種を育ててもらうような感じでした。自分の関心の種に先生が水を与え、雑草を抜いたり、よく育つように肥料を与えたりして成長を助けてもらう事で、自分の芽を出すことができたのだと思います。
また、私は大学生の頃に学んだ分野の知識を活かしながら職場や社会生活などで経験した問題に目を向けたいと思っていました。ただ、それにはなかなか両者が重ならない部分もあり、5月に入塾して夏までなかなかテーマが決まらず・・・、という状況でした。そうした中でも毎回の授業で丁寧な指導をいただき、秋には研究テーマが定まっていき論文の執筆を始めました。
3.試験対策
HSPは英語の外部テスト(TOEFLないしIELTS)の事前提出がありますが、英語や第二外国語の試験はありません。私自身は英語には全体的に時間をかけた方ではなかったため、試験対策として以下の点をあげたいと思います。
・論文作成
論文に関しては、大学生時代から研究テーマが変化していたため、卒論は使わず、9月頃から新しく論文を書き始めました。
仕事を続けながら大学院に行きたいと言ったものの、会社のバックアップがあるわけもなかったので勤務形態は変わらず、職場に通いながら院の試験勉強を進めました。平日は仕事でまとまって取れる時間が限られた為、論文作成は11月頃までは通勤時間や帰宅後に文献を読み、土日に一気に論文を書き進めるスタイルを取っていました。12月に入ってからは平日土日関係なく書いていました。
論文レベルの文章を「書く」ことが数年ぶりだった為、最初は書き方や引用の仕方すらあやふやでしたが、授業の中で先生からいただいた指摘を受けとめ、構成を練り直し、考えを深め、表現を推敲し、提出期限まで論文の完成度を高めることを求めました。
・一次試験
HSPは一次試験が小論文です。小論文のテーマがHSPの分野と繋がっているため、個別授業で行った研究テーマ設定の為のリサーチが活かされました。ただ反省点として、私は小論文講座を受けていなかったのですが、余裕があれば小論文講座が受講できればよかったと思っています。構成力・論理力がより鍛えられたのではと考えますし、正直な所、一次試験も通るかどうかと受験番号がホームページに掲載されるのを確認するまでずっと不安でした。
・二次試験
二次試験は面接です。論文と研究計画書を提出し、複数人のHSPの先生方から質疑が行われます。論文作成は先に記載した通りですが、研究計画書は、自分が論文を書いていく中で、2年間どんな研究を行うか先生と話し合い、定まっていったものでした。質問や指摘に対しては「自然と答えられる/答えられない(考えが及んでいなかった)」があらわれましたが、二次試験は「やれることは全てやった」という気持ちで、思い残し無く終えることが出来ました
4.合格後(ご参考)
合格後HSPの教員の一人と面談する機会を得られました。(受験勉強中は仕事の両立もあって大学院へのアポイントが取る余裕がありませんでした。)
教授のお話によれば、HSPプログラムは大学院の中でも特に老若男女、幅広い層が所属し、交流している場だと伺いました。その意味で、自分の院進学は年齢・キャリア等のバックグラウンドに左右されず挑戦ができる場だと感じています。
この体験記を読み、これから院に入ろうと考えている人は、自分の合格後の姿を想像しながら受験勉強をに取り組み、一歩一歩力を伸ばしてほしいと思います。心より応援しております。
*稚拙な長文にて失礼いたしました。
2024年3月の終わりに K.I.
以上が、お寄せいただいた「合格者の声」です。(昴教育研究所事務局)