東京大学 教育学研究科の受験対策

東京大学大学院 教育学研究科の入試対策

昴教育研究所、英語・論述担当の高橋です。
本日は、東京大学大学院、教育学研究科の入試の対策について記します。

同大学院の募集要項は、以下の外部リンクのページの下の方で閲覧できます。
東京大学教育学研究科「大学院進学希望の方へ

(1)東大教育学研究科 入試の特徴

東京大学教育学研究科入試の特徴の一つとして、「英語」の重要性が挙げられます。まず、同大学院では、外国語はすべて英語が課されます。他の外国語を選択することはできません。そのうえで、試験時期が9月であり、「研究計画書」の提出が課される一方で、「卒業論文」の提出はありません。そのため、判断材料として、一次試験が相対的に重視されること、また、一次試験において差が付きやすいのが英語であることから、結果として、英語がかなり出来ていないと合格は困難です。また、二次試験は研究計画書を中心とするため、研究計画書作成においても、入念な準備が必要です。

なお、東大教育学研究科の募集定員88名に対して、過去4年間(2018年度入学まで)の入学者は90→97→82→85で推移しており、募集人員を満たす傾向にあります。(総合文化研究科・人文社会系研究科・学際情報学府研究科・公共政策大学院などは、例年、募集人員よりも合格者が少ない状況が続いています。)ただし、各年度とも、倍率は3倍を超えており、難関大学院であることは言うまでもありません。

(2)東大教育学研究科 英語試験対策について

同研究科の英語試験は「英語I」と「英語II」があります。ここでは主として英語Iを念頭に置きながら、最後に英語IIについて記すこととしましょう。

同研究科の大学院入試は、全コース共通です。3問中2問を選択する形式で、3問とも英文を全訳する形での出題です。出題の分量は1~2段落で、だいたい170~230語程度の文が出題されます。出題内容は、同研究科のコースの幅広さを反映して、狭い意味での「教育学」の出題というよりは、臨床心理学や認知心理学を含む心理学的内容や、グローバル化と労働市場の変容をめぐる問題、公教育と国家の関係をめぐる問題など、多岐にわたる内容が出題されており、「専門知識」の問題ではなく、英語力の根本を問う問題である、と評価できます。また、試験時間も院試としては標準的で、しっかりとした英語力のある人なら、時間切れの心配はそれほどしなくて良いでしょう。

出題の難易度は「標準的」です。多くの人が訳すことができる平易な文も含まれますが、複雑な構文も各問に含まれており、解答者の英語力をバランスよく反映することができる出題です。

試験対策としては、基本的な英文解釈に関する訓練を積み、文法知識や語彙などについて、盲点が無いようにしていくことが一番重要です。平たく言えば、「英語力をつける」こと以外に合格の早道はありません。昴の受験対策科目では、「英語院試問題演習」と中心とした受講をお勧めしております。
(詳しくは、「外国語設置科目一覧」をご覧ください。)

最後に「英語II」について補足しておきます。英語IIは外国人受験者、および、一部コースの社会人受験者が利用することができます。詳しくはこのページ冒頭に掲載した、東大のページの募集要項をご覧ください。

英語IIは英語Iに比して、解答時間が長く、また、辞書使用可であることが特徴です。かつては、問題の難易度についても、英語Iより平易である傾向にありましたが、近年は難易度を上げており、英語Iと英語IIの難易度の差は縮まってきています。

「辞書使用可」と言って、甘くみてはいけません。英語教育に携わったことがある人間なら誰でも知っていることですが、辞書を使ったからと言って、正しく訳出できるなら苦労は無いし、世の中で出版されている文献の「誤訳」なども発生しません。辞書を使えることで、かえって、上位の受験者とそれ以外の受験者の差が開きやすい試験です。入念な試験準備が必要でしょう。

(3)東大教育学研究科 専門試験対策について

同研究科の専門試験は「基礎教育学コース」「比較教育社会学コース」「生涯学習基盤経営コース」「大学経営・政策コース」「教育心理学コース」「臨床心理学コース」「身体教育学コース」「教職開発コース」「教育内容開発コース」「学校開発政策コース」の10コースごとに出題されます。(ちなみに「教職開発コース」「教育内容開発コース」「学校開発政策コース」は「学校教育高度化専攻」として、共通問題が課されています。)

コース毎の違いはあるにせよ、特徴として浮かび上がってくるのは、「問題意識」と「論述力」の重要性です。「教育」は元来、社会のあり方や価値観と密接に関わる領域です。加えて、グローバル化、金融経済の発展、新自由主義/緊縮、ポスト・フォーディズム的生産など、様々な呼び方がされる今日の社会の変動のなかで、日本の教育は(良くも悪しくも)大きな変化にさらされています。そうした社会変動や圧力のなかで、いかにして、未来の社会と人間を考えるか、という問題意識が、同大学院の専門問題からはうかがわれます。

上述のような点から、同研究科の専門問題対策は、概説書・入門書の類いを読めば事足れり、というたぐいのものではありませんし、ましてや、「教育学」と名前のついたレクチャーを受講しただけで対応できるものではありません。しっかりとした過去問研究に基づきながら、同大学院に所属する教員の論文・書籍を足掛かりに、現在、教育学のそれぞれの領域において問題になっている状況を理解し、問題意識を共有しておくことが、合格に近づく道だと言えます。

以上のように述べるとハードルが高く聞こえるかもしれませんが、一点だけ、学習しやすい理由があります。それは、教育というものが、私たち一人一人にとって身近な存在だということです。一例として「大学経営・政策コース」を挙げておきましょう。私たちは、いずれも、自分なりに「大学」という場を経験し、そして、さらに大学に参加して学ぼうとして、大学院受験を志しているわけです。そうした人にとって、近年の大学や研究をめぐる変容を見逃すわけにはいきません。このようなことは、あらゆるコースについて言えるでしょう。「教育」というテーマは、身近で、関心が高いだけに、ちゃんと文献を使ってインプットしていけば、身近な問題として理解できる分野だと言えます。

(4)東大教育学研究科 研究計画書と二次試験対策について

上述のように、一次試験で高い水準の得点が求められる同大学院ですが、同時に、「研究計画書」と「二次試験(面接)」も重要です。卒業論文の提出が無い分、短い字数(A4用紙2枚程度)のなかに、先行研究への理解や網羅性、そうした先行研究との関係で自分の研究の位置を明らかにする工夫が求められます。

「面接」は、募集要項では、「主として専門科目について行う」と記されています。これだけ読むと、「〇〇についてあなたはどう考えますか」など、口頭でのクイズのような試験を想定する方も多いでしょう。ただし実際の試験について、過去の受験者からの報告を聞くと、「研究計画書」が重視され、その中に内容を掘り下げる質疑応答が中心になるとのことです。したがって「研究計画書」をしっかりと仕上げるのが、一番の二次試験対策だと言えます。ただし、研究計画だけで判断するわけではないようです。表面的な知識や情報をつないでも、その研究計画の背景にある問題意識・研究テーマに至った背景や動機などがしっかりと問われます。

これは東大教育学研究科に限った話ではありませんが、2000文字程度の研究計画書を書き上げるためには、その何十倍のインプットが必要になります。そうしたインプットをしっかりと行っていけば、自ずから、問題意識も明確になってきますし、加えて、専門問題の対策にもつながっていくでしょう。

昴では、過去の受験者の例を踏まえながら、本人の努力が形になった研究計画書の作成をサポートします。(昴教育研究所の「研究指導」)

*以下もご参照ください。教育学研究科の合格者の声です。

東京大学 教育学研究科合格体験記 1

東京大学 教育学研究科合格体験記 2

東京大学 教育学研究科合格体験記 3

東京大学 教育学研究科合格体験記 4

東京大学 教育学研究科合格体験記 (勉強法を中心に書いていただきました)

 

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