東大 言語情報科学専攻 受験対策について(外国語・専門問題)

東京大学 総合文化研究科 言語情報科学専攻の入試対策について

英語・論述担当の高橋です。本日は、東大総合文化研究科入試における8つのカテゴリーのうち、「言語情報科学専攻」の受験対策について記したいと思います。以下、3つの項目に分けて執筆します。

「8つのカテゴリー」については、「東京大学 総合文化研究科(文系)専攻 入試対策概要」をご覧ください。

(1)東大 言語情報科学 入試の特徴
(2)東大 言語情報科学 外国語問題の特徴と対策
(3)東大 言語情報科学 専門問題の特徴と対策

(1)東大 言語情報科学 入試の特徴

東京大学総合文化研究科、言語情報科学専攻は、様々な形で、言語に関わる研究を行うことができる大学院です。過去の昴からの進学者では、「文学」を専門にする方、および「言語」を専門にする方*が主として同大学院に進学しています。総合文化研究科のなかでも、独自の、そして独特の外国語試験を実施しているのは、こういった側面の反映と考えられます。加えて、専門問題を分析するにあたっても、専攻のなかの「多様性」を念頭に置く必要があるでしょう。

*個人情報保護のため、細かい研究内容や研究アプローチは省略させていただきました。

(2)東大 言語情報科学 外国語問題の特徴と対策

言語情報科学専攻の外国語試験は、東大総合文化研究科共通問題である「英語I」と、専攻が出題する外国語II(2言語)から構成されます。したがって、最低2言語、場合によっては3言語での受験が可能です。外国語のなかには「日本古典」が含まれますので、日本語学や日本文学を専攻にされる方はこちらを選ばれる方が多いようです。その場合には、「英語+日本古典」にすることで、「第2外国語」を用いずに受験することが可能です。

東大総合文化共通の出題である「英語I」については、次のページをご覧ください。

東京大学 総合文化研究科共通英語試験対策について

さて、言語情報科学の「外国語II」の特徴を一言であらわすと…「難しい」です。

私が専門とする英語で言えば、第1問は、説明問題と下線訳の問題(年度によっては、4択の選択問題も出題されます)、第2問は、英語の文を日本語に要約(120~150語程度)、第3問は、日本語の文を英語に要約、という出題になっています。

第1問は、文章は「やや難」というところですが、出題形式は他の大学院の試験と似たようなもので、それほど問題は発生しないでしょう。厄介なのは、第2問と第3問です。

第2問の「英語を日本語で要約」は、受験生の力量によって差が大きく出る出題だと言えます。「要約」というのは、細部を適当に拾ってコピペすれば良い、というものではありません。自分の頭の中で、中心的なテーマとそれをめぐる主張を整理して、大胆に言い換えるなどの努力が必要であり、そのため、中途半端な英語力では、かなりポイントを外した解答になってしまう危険があります。昴の授業でも、要約問題の答案は大きく得点が分かれる傾向があり、そのため、しっかりとした英語の読解力を身に着けたうえで、しっかりと訓練する必要があるでしょう。

第3問の「日本語を英語で要約」は、大学院入試のみならず、大学入試を含めても、かなり特異な出題だと考えられます。実際この形式の試験を出題しているのは、総合文化研究科はもとより、東京大学大学院全てでも、この専攻のみです。

第2問と同様に、文章のテーマと主張内容をよく理解することが必要ですが、それに加えて、「自分なりに英語で考える」ことが求められます。日本語を第一言語とする学習者においては、インプットに比べてアウトプットが苦手、という方は多いです。(というか、普通どんな外国語学習においても、インプットよりアウトプットの方が得意、ということは、ほとんど考えづらいのですが。)そうしたなかで、「自分が表現できる範囲で日本語の文を置きなおして、英語で考える」ということが求められるだけに、この問題はかなり厳しいものだと言えるでしょう。不幸中の幸いというか、この出題形式は相当に難易度が高く、過去の合格者の報告などを聞く限り、あまり得点率は高くないものと推測されます。とはいえ、「白紙」はもちろん、あまりにも外れた答案で極端な低評価を受ければ、合格はおぼつかないと思います。少しでも英語力を高めて、対応していくようにしましょう。

最後に、英語以外の言語についても記します。上述のように英語の第3問が難しく、かつ、同試験では、第1外国語と第2外国語の各3問、計6問のうち、5問を選択すれば良い設定なので、英語の第3問を回避することを考えたくなりますが、なかなかそうもいきません。フランス語・中国語・ドイツ語・イタリア語・韓国朝鮮語では、日本語を訳出する形ですが、当該言語の運用能力を問う出題が出ています。また、中国出身の受講生の方の証言によれば、中国語の「中文和訳」問題2問のうち、1問は古典の中国語で、現代の中国の人は苦戦するそうです。「日本古典」の問題も、3問中1問は万葉仮名で出題されており、相当専門的な対策をしないと厳しいでしょう。以上を考えると、「当該言語を専門とする人」を除けば*、大変ではあるけれど、「和文英要約」を解答した方が良いかもしれません。
*たとえばフランス文学やドイツ文学を専門にする人が、「和文仏訳」や「和文独訳」を回避するのは、悪印象を与え、一次試験に合格しても、二次試験で不合格とされる危険があるので、その点は十分考慮してください。(もちろん、昴ではそういった点も具体的にアドバイスします。)

(3)東大 言語情報科学 専門問題の特徴と対策

昴での面談で、言語情報科学の専門問題について、「こんな問題解けない」というご相談を頂くことが良くあります。これについては、「出題の条件をしっかり考慮する」ことが必要です。

(1)で記したように、言語情報科学は、言語に対する様々なアプローチで研究する教員・院生が所属しています。そうした専攻の性質を反映して、試験問題でも、複数の領域の出題が掲載されています。純粋に院試の問題という観点から見れば、これは大きく分けて、「情報処理(プログラミング)」「言語学(言語学・言語教育学/第二言語習得(SLA)・社会言語学)」「韓国朝鮮語」の4領域に分けることができるでしょう*。このそれぞれ4つの領域から、第I問(用語説明)、第II問・第III問(論述問題)が出題されています。
*いうまでもなく、韓国朝鮮語も言語学ですが、出題に解答する前提として、韓国朝鮮語の能力が必要なため、ここでは便宜上、言語学とは異なる領域に分類しました。

ここで注意が必要なのは、「すべての問題に解答する必要はない」ということです。出題をよく読めばわかるように、第I問(20問程度)からは2問、第II問・第III問からは1問選んで解答すれば良いわけです。したがって、「自分の専門以外の出題は無視して良い」と言えます。

それぞれの領域の出題について、簡単に傾向を述べておきます。ただし、純粋な言語学と情報処理、および韓国朝鮮語は、専門性が高いため、門外漢からのコメントはできません。もっぱら、文学・社会言語学・言語教育学/第二言語習得(SLA)を中心に記します。

第II問はテーマ型の出題です。「文学と声」のようなテーマなどが出題され、それについて、具体例を入れながら論じる形が主流です。言語系でも、「言語変化」などのテーマについて論じることが求められることが多いですが、言語教育学ではしばしば、英語で短い文が与えられ、それの理解と知識の両方が求められることが多いです。第II問は、相対的に、知識を生かさないといけない問題だと言えます。

この点で言えば、文学系の受験者は、それほど対応に困ることは無いでしょう。文学の出題テーマは、特定の国に関するものではなく、近代以降の文学であれば、日本文学でも英語圏文学でも仏語圏文学でも独語圏文学でも(以下略)こたえられる内容です。そして、文学における「知識」とは作品について知識です。ある程度の文学作品を知っていれば、ここで与えられたテーマに引き付けて論じることは難しくありません。加えて、文学系は2題出題されるため、そのどちらかに引っかかる作品を考えるのは、慣れてしまえば簡単です。昴の「論述対策講座」では、こういった専攻ごとの出題に応じた練習も積極的に行っています。

一方、社会言語学・言語教育学の場合、ピンポイントで「知らないこと」が出題されると、解答を作成するのが困難になる恐れがあります。出題に求められる知識自体は、それほど珍しいものではないので、当該領域をしっかりと勉強しておくことも大事でしょう。加えて、「社会言語学」と「言語教育学」の両方を学んでおくことも、リスクマネジメントとしては有効かもしれません。仮に自分がメインとする領域の問いに答えられなくても、もう一方の出題に解答可能な場合はけっこう多いようです。

第III問は、例年、文学系では1~2段落の文を与えられて、それに関するテーマで解答をすることを求められます。また、社会言語学・言語教育学はそれぞれ、実際に行った実験や調査などを示す、グラフ・図版をめぐって解答させる問題が出題されています。

文学系の場合、第II問と同様に、第III問でも2問が例年出題されています。出題傾向を見る限りでは、1問は、文学理論寄りの出題で、ポール・ド・マンや、竹村和子など、文学研究を経験した人間なら(私の大学院時代の専攻は、「英語圏文学・文化理論」でした)「難しそう」となる文が多く、実際、難読なものが多いと言えます。その結果、もう1問の方を選択する解答者が集中するかもしれません。ただし、丁寧に読めば、上記のような文学理論寄りの出題も、そんなに解答しづらいものとは限らず、見た目の「難しそう」に惑わされず、自分のもっている素材で論じやすい方を選ぶと良いでしょう。

社会言語学・言語教育学の場合、第III問では、当該分野で行われた実際の研究の結果を示す、グラフや図表の問題が出題されることが多いです。実はこれは、第II問よりも対応しやすいです。図表と言えば「統計か?」と緊張してしまいそうですが、実は、最低限の英語力があれば、統計の知識が無くても、何が書いてあるか、を理解することは十分にできる素材が与えられています。また、当該研究分野の知識については、基本的な内容さえわかっていれば、あとは、図表やグラフの読みで解答できるものが圧倒的に多いと言えるでしょう。また、過去には、「勤務しているデパートの階層性による使用している言語の違い」(社会言語学)や「臨界期仮説」(言語教育学/第二言語習得)などの、当該研究領域で著名な研究についての図表が出題されていたこともあります。近年は、そこまで著名なものは出題されていないようですが、ちゃんと勉強し、図表にちゃんと向き合えば、必ずしも答案を作成するのは難しくない出題が多いと言えます。

言語情報科学の専門対策で必要なのは、過去問をしっかりと分析して、どんな知識が必要とされるのか、を把握し、それに見合う学習を進めておくことです。当然昴では、こういった点のアドバイスもどんどん行っていきます。

英語・論述担当 高橋

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東大人文社会系 合格者の声まとめ

東大、人文社会系研究科合格体験記の一覧です。

東京大学 人文社会系研究科、早稲田大学 文学研究科合格体験記

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 1

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 2

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 3

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 4

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 5

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 6

東京大学 人文社会系研究科合格体験記 7

「合格者の声一覧」は下のリンクです。

合格者の声一覧

東京大学 総合文化研究科共通英語試験対策について

東大 総合文化研究科 共通科目「英語I」について

昴教育研究所、英語・論述担当の高橋です。

東大総合文化研究科各専攻・コースごとの入試の特徴と対策を随時更新していきます。その手始めに、一部を除きすべての専攻・コースで共通して出題される「英語I」という科目の特徴について説明しておきます。

東大総合文化研究科(文系)では、「人間の安全保障プログラム」を除く各専攻・コースでは、「英語I」という共通科目が課されます。(外国人受験生は除く。)

これに、各専攻・コースごとに行う「外国語II(1言語あるいは2言語)」を組み合わせたものが、総合文化研究科入試の外国語試験です。

(1)「英語I」の出題の形式

総合文化研究科、「英語I」では、過去少なくとも20年にわたり、大問が3題出題されており、第1問、第2問は英文の理解を問うもの、第3問が英語の筆記力を問うものという形式は変わっていません。

(2)第1問、第2問(英文の理解を問う問題)の出題傾向

第1問、第2問は、過去、英文和訳に加えて、下線部の説明や下線部を要約させる問題など、ちょっと工夫した問題が出題されていました。

しかし近年は、「英文和訳」が多く出題される傾向があります。この背景の一つとして推測されるのが、「文法訳読」の再評価です。

近年の中等教育段階(中学校~高校)では、ダイレクト・メソッド(英語を英語で教える)など、「コミュニケーション重視」の英語教育へのシフトが起きています。しかしその結果として、「英文の意味を細部まで正しく読む」という部分が疎かになっている、という懸念もあります。学術的な外国語読解では、「おおまかな意味」の理解では、研究に役立ちません。もちろん、日本語訳を作成することだけが、「英文の意味を細部まで正しく読む」ことを試す方法ではないでしょうが、「英文和訳」の価値は、再度見直されているとも考えられます。

もちろん上記はただの推測であり、突如出題が変化する可能性はありますが、しかし今後とも、出題形式に変化があろうとも、「細かいところまで正しく理解できているか」を問う出題が続くものと思います。

出題内容は多岐にわたります。ただ、特定の専門分野に偏るのではなく、広義の文化現象について、日常・芸術・文化・研究をめぐって幅広い内容が出題されます。そこで求められるのは、『詳解 大学院への英語』(高橋著、2017年、東京図書)の序論で記した言葉のくり返しですが「英語(外国語)で、自分が今まで知らなかったこと、考えてもみなかったことを学ぶことを楽しむ態度(attitude)」であると思います。

宣伝:昴の設置科目、「英語基礎」「英語読解」「英語構文」「英語院試問題演習」では、こうした問題に対応するべく、英語を理解するうえでの基本的な知識から、単語の意味や語法の盲点、文法上の盲点など、多岐にわたる英文読解のエッセンスをお伝えしていきます。また、春期集中特別公開講座では、実際の院試を想定した試験方式の授業を実施しますので、現在の自分の実力を知るためにも受講をお勧めします。(→「外国語設置講座一覧」)

(3)第3問(英語を書く力を問う問題)

第3問については、ほとんどの年度は、「和文英訳」の形式でしたが、2015年のみ、図表の説明を50語ほどの英文で求めるものでした。(この出題については、東京大学の学部入試における、二次試験での英作文問題を思い浮かべてもらうと良いでしょう。)この傾向が続くかな、と思っていたら、翌年からはまた、過去と同様の和文英訳問題に戻っていたので、少し拍子抜けしました。なので、基本的には和文英訳の問題が出ることを想定しておくと良いでしょう。

和文英訳問題で特徴的なのは、「生きた日本語」の文章が出題される、ということです。たとえば、「私は大学に入ってはじめて、本当の意味で文章を理解することの重要性がわかった」という文が出題されたとします。この場合には、「ああ、not untilを使って書くことを求められているんだな」と理解して、それを用いて骨格を考えることができます。

一方、実際の論文・書籍からの出題の場合、そうはいきません。日本語としては意味が通る文でも、それを英語にしようとすると、言葉足らずの部分を補わなければいけないうえに、用いる構文も複数の選択肢が発生します。

宣伝:昴の「ライティング」の授業は、この英語Iの和文英訳問題への対応を主たるターゲットにして、英語を書く力の養成を目指します。春~夏学期には、知っているはずの英文法知識を実際に使えるようにする基礎固めを行い、秋冬学期では、上記のような「生きた日本語」を英語にするための様々なストラテジーを確認していきます。(→「外国語設置講座一覧」へ

昴、英語・論述担当 高橋

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東京大学 教育学研究科の受験対策

東京大学大学院 教育学研究科の入試対策

昴教育研究所、英語・論述担当の高橋です。
本日は、東京大学大学院、教育学研究科の入試の対策について記します。

同大学院の募集要項は、以下の外部リンクのページの下の方で閲覧できます。
東京大学教育学研究科「大学院進学希望の方へ

(1)東大教育学研究科 入試の特徴

東京大学教育学研究科入試の特徴の一つとして、「英語」の重要性が挙げられます。まず、同大学院では、外国語はすべて英語が課されます。他の外国語を選択することはできません。そのうえで、試験時期が9月であり、「研究計画書」の提出が課される一方で、「卒業論文」の提出はありません。そのため、判断材料として、一次試験が相対的に重視されること、また、一次試験において差が付きやすいのが英語であることから、結果として、英語がかなり出来ていないと合格は困難です。また、二次試験は研究計画書を中心とするため、研究計画書作成においても、入念な準備が必要です。

なお、東大教育学研究科の募集定員88名に対して、過去4年間(2018年度入学まで)の入学者は90→97→82→85で推移しており、募集人員を満たす傾向にあります。(総合文化研究科・人文社会系研究科・学際情報学府研究科・公共政策大学院などは、例年、募集人員よりも合格者が少ない状況が続いています。)ただし、各年度とも、倍率は3倍を超えており、難関大学院であることは言うまでもありません。

(2)東大教育学研究科 英語試験対策について

同研究科の英語試験は「英語I」と「英語II」があります。ここでは主として英語Iを念頭に置きながら、最後に英語IIについて記すこととしましょう。

同研究科の大学院入試は、全コース共通です。3問中2問を選択する形式で、3問とも英文を全訳する形での出題です。出題の分量は1~2段落で、だいたい170~230語程度の文が出題されます。出題内容は、同研究科のコースの幅広さを反映して、狭い意味での「教育学」の出題というよりは、臨床心理学や認知心理学を含む心理学的内容や、グローバル化と労働市場の変容をめぐる問題、公教育と国家の関係をめぐる問題など、多岐にわたる内容が出題されており、「専門知識」の問題ではなく、英語力の根本を問う問題である、と評価できます。また、試験時間も院試としては標準的で、しっかりとした英語力のある人なら、時間切れの心配はそれほどしなくて良いでしょう。

出題の難易度は「標準的」です。多くの人が訳すことができる平易な文も含まれますが、複雑な構文も各問に含まれており、解答者の英語力をバランスよく反映することができる出題です。

試験対策としては、基本的な英文解釈に関する訓練を積み、文法知識や語彙などについて、盲点が無いようにしていくことが一番重要です。平たく言えば、「英語力をつける」こと以外に合格の早道はありません。昴の受験対策科目では、「英語院試問題演習」と中心とした受講をお勧めしております。
(詳しくは、「外国語設置科目一覧」をご覧ください。)

最後に「英語II」について補足しておきます。英語IIは外国人受験者、および、一部コースの社会人受験者が利用することができます。詳しくはこのページ冒頭に掲載した、東大のページの募集要項をご覧ください。

英語IIは英語Iに比して、解答時間が長く、また、辞書使用可であることが特徴です。かつては、問題の難易度についても、英語Iより平易である傾向にありましたが、近年は難易度を上げており、英語Iと英語IIの難易度の差は縮まってきています。

「辞書使用可」と言って、甘くみてはいけません。英語教育に携わったことがある人間なら誰でも知っていることですが、辞書を使ったからと言って、正しく訳出できるなら苦労は無いし、世の中で出版されている文献の「誤訳」なども発生しません。辞書を使えることで、かえって、上位の受験者とそれ以外の受験者の差が開きやすい試験です。入念な試験準備が必要でしょう。

(3)東大教育学研究科 専門試験対策について

同研究科の専門試験は「基礎教育学コース」「比較教育社会学コース」「生涯学習基盤経営コース」「大学経営・政策コース」「教育心理学コース」「臨床心理学コース」「身体教育学コース」「教職開発コース」「教育内容開発コース」「学校開発政策コース」の10コースごとに出題されます。(ちなみに「教職開発コース」「教育内容開発コース」「学校開発政策コース」は「学校教育高度化専攻」として、共通問題が課されています。)

コース毎の違いはあるにせよ、特徴として浮かび上がってくるのは、「問題意識」と「論述力」の重要性です。「教育」は元来、社会のあり方や価値観と密接に関わる領域です。加えて、グローバル化、金融経済の発展、新自由主義/緊縮、ポスト・フォーディズム的生産など、様々な呼び方がされる今日の社会の変動のなかで、日本の教育は(良くも悪しくも)大きな変化にさらされています。そうした社会変動や圧力のなかで、いかにして、未来の社会と人間を考えるか、という問題意識が、同大学院の専門問題からはうかがわれます。

上述のような点から、同研究科の専門問題対策は、概説書・入門書の類いを読めば事足れり、というたぐいのものではありませんし、ましてや、「教育学」と名前のついたレクチャーを受講しただけで対応できるものではありません。しっかりとした過去問研究に基づきながら、同大学院に所属する教員の論文・書籍を足掛かりに、現在、教育学のそれぞれの領域において問題になっている状況を理解し、問題意識を共有しておくことが、合格に近づく道だと言えます。

以上のように述べるとハードルが高く聞こえるかもしれませんが、一点だけ、学習しやすい理由があります。それは、教育というものが、私たち一人一人にとって身近な存在だということです。一例として「大学経営・政策コース」を挙げておきましょう。私たちは、いずれも、自分なりに「大学」という場を経験し、そして、さらに大学に参加して学ぼうとして、大学院受験を志しているわけです。そうした人にとって、近年の大学や研究をめぐる変容を見逃すわけにはいきません。このようなことは、あらゆるコースについて言えるでしょう。「教育」というテーマは、身近で、関心が高いだけに、ちゃんと文献を使ってインプットしていけば、身近な問題として理解できる分野だと言えます。

(4)東大教育学研究科 研究計画書と二次試験対策について

上述のように、一次試験で高い水準の得点が求められる同大学院ですが、同時に、「研究計画書」と「二次試験(面接)」も重要です。卒業論文の提出が無い分、短い字数(A4用紙2枚程度)のなかに、先行研究への理解や網羅性、そうした先行研究との関係で自分の研究の位置を明らかにする工夫が求められます。

「面接」は、募集要項では、「主として専門科目について行う」と記されています。これだけ読むと、「〇〇についてあなたはどう考えますか」など、口頭でのクイズのような試験を想定する方も多いでしょう。ただし実際の試験について、過去の受験者からの報告を聞くと、「研究計画書」が重視され、その中に内容を掘り下げる質疑応答が中心になるとのことです。したがって「研究計画書」をしっかりと仕上げるのが、一番の二次試験対策だと言えます。ただし、研究計画だけで判断するわけではないようです。表面的な知識や情報をつないでも、その研究計画の背景にある問題意識・研究テーマに至った背景や動機などがしっかりと問われます。

これは東大教育学研究科に限った話ではありませんが、2000文字程度の研究計画書を書き上げるためには、その何十倍のインプットが必要になります。そうしたインプットをしっかりと行っていけば、自ずから、問題意識も明確になってきますし、加えて、専門問題の対策にもつながっていくでしょう。

昴では、過去の受験者の例を踏まえながら、本人の努力が形になった研究計画書の作成をサポートします。(昴教育研究所の「研究指導」)

*以下もご参照ください。教育学研究科の合格者の声です。

東京大学 教育学研究科合格体験記 1

東京大学 教育学研究科合格体験記 2

東京大学 教育学研究科合格体験記 3

東京大学 教育学研究科合格体験記 4

東京大学 教育学研究科合格体験記 (勉強法を中心に書いていただきました)

 

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昴の院試対策

昴教育研究所の院試対策の概要

昴での大学院受験対策について、以下の4つの項目順に記していきます。

(1)「学習」と「研究」とを両立させよう
(2)「外国語設置講座」と「論述対策」で確実な一次試験対策を
(3)「研究指導」で研究計画書・提出論文に効果的に取り組もう
(4)多様なニーズにこたえる「オーダーメイド講座」

 

(1)「学習」と「研究」とを両立させよう

大学院受験では、筆記試験中心の「一次試験」と、提出物に基づく面接で行われる「二次試験」との両方にしっかりと対応し、準備していくことが重要です。

「一次試験」への対策は、努力の量が結果に結びつく「学習」、「二次試験」への対策は、先行研究をインプットしながらも、まだ見ぬ発見へと探求していく「研究」の道です。院試対策を始めてみて気が付くのは、両者のベクトルが大きく異なっていることです。このどちらかを軽視してしまえば、志望の大学院への合格は困難になるでしょう。昴のシステムは、この両輪を上手に回していくことを可能にします。

 

(2)「外国語設置講座」と「論述対策」で確実な一次試験対策を

大学院入試の一次試験で大きな比重を占めるのが、外国語の試験です。昴では、経験豊富・実績のある講師による外国語のクラスを設置しています*。それぞれのクラスについては、外国語設置科目一覧をご参照ください。
*「個別指導」を希望される方は、このページの下にある(4)オーダーメイド講座の説明を参照してください。

外国語の「学習」をペースメーカーとして重ねていき、実力を身に着けていくことで、大学院受験の準備が効果的に展開していきます。

また、昴では、多くの大学院受験者が不安を抱える、専門科目の論述対策に的を絞った授業も用意しています。定期的なアウトプットが、インプットへの渇望を生み出します。論述対策の詳細については論述対策講座の説明をご覧ください。

 

(3)「研究指導」で研究計画書・提出論文に効果的に取り組もう

先述したように、「研究」は先が見えない道です。だからこそ、過去の合格例を知る講師による「研究指導」が効果を発揮します。昴では「本科生」に2000字~8000字程度の「研究計画書」および20000字以上の「卒業論文・卒業論文に代わる論文」の指導を実施していきます。また、研究指導のみをご希望の方や「単科生」の方も別途オーダーメイド講座をご受講いただくことで対応が可能です。指導の具体的な内容については、昴の「研究指導」を参照してください。

 

(4)多様なニーズにこたえる「オーダーメイド講座」

大学院受験においては、様々なニーズがあります。これに答えるのが「オーダーメイド講座」(個別指導)です。それぞれの受講生の要望から授業内容を設定して、個別指導を実施します。以下は具体的にこれまで実施してきたニーズの例です。

  • 外国語が苦手なので、初歩から丁寧に教えてほしい。
  • クラス授業を受講したいけれど、日程がどうしても合わない。
  • 試験が迫って、集中的に外国語の過去問を指導してほしい。
  • 提出論文に特化して指導してほしい。
  • 特定領域(心理学・法学など)の英語の問題を中心に学習したい。
  • すでに大学院で研究を進めているが、英語の文献を読みながら相談したい。
  • 外国語で論文や研究計画書などを提出しなければならないため、その添削をしてほしい。

上記のようなニーズ以外にも、様々な要望に応じて授業を設けることが可能です。オーダーメイド講座のシステムや料金については、メニューから「諸規定・学費」のページに行ってご確認ください。

 

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論述対策講座について

 

昴では、大学院受験における「専門科目」対策として、「論述対策講座」を設置しています。
その「論述対策講座」の特徴を、以下の項目ごとに解説していきます。

(1)大学院入試の「専門科目」とは
(2)フォーマットを確立させよう
(3)各受講生にあった「過去問想定演習」
(4)答案への丁寧な添削
(5)「論述対策講座」のレベルは?

*ここで念頭に置く大学院は、「文系」の専門の大学院です。数学などの問題を解く「理系」の大学院は想定していませんので、ご了承ください。

 

(1)大学院入試の「専門科目」とは

大学院受験では、通常、語学の試験に加えて「専門科目」の試験が課されます。
昴の「論述対策講座」は、「専門科目」の中の「論述」に分類される問題へ対応する講座です。
専門科目の試験の種類は、「知識で対応すべき問題」と「論述問題」に分類されます。「知識で対応すべき問題」を代表するのは「用語説明」の問題です。これらへの対応は「書き方」よりも、「ちゃんと知っている」ことが重要です。(もちろん、短い用語説明でも「書き方のコツ」のようなものは存在し、それについてはここで解説している「論述対策講座」でも触れます)
したがって、こういった知識の習得には、しっかりと書籍・論文を通じてインプットすることが最大の受験対策になります。
一方、「以下の文章を読み、その内容を踏まえた上で、下線部「〇〇〇〇*」について、具体的な作品を挙げながら論じなさい。」や「教育と〇〇*との多面的な関係について、社会科学的観点から論じなさい。」といった出題に対しては、単に知識として知っているだけでは対応できません。与えられた引用文や出題テーマから、学問的な関連性(relevance)を引き出して、それを自分の知識と結びつけることが要求されます。逆に、この部分のやり方が身についてくれば、新しく得た知識を使って、自分なりに論じることが上手く――そして楽しく――なってきます。昴の「論述対策講座」は、受講生が自律して学習できるようになるため、そして、試験において、それぞれが学んできたことをしっかりと発揮できるための対策を行っています。
*実際の出題からの引用のため、〇〇は伏字を表しています。

 

(2)フォーマットを確立させよう

日本の大学生、いやむしろ、日本の成人は「論理的な文章を書くのが苦手である」と、しばしば指摘されます。このことの当否は、正確な国際比較などが行われないとわかりませんが、「自分は文章を書くのが苦手だ」と思っている方は多いと思います。加えて、「文章を書くのは慣れている/好きだけれど、≪アカデミックな文章≫となると、自信が無い」という方も多いでしょう。
「論述対策講座」では、「書き方」についての一定のルールをまず学んでいき、それに則って書くことを学びます。すなわち、「フォーマットの確立」です。学術論文では、イントロダクションやコンクルージョンをつけることや、複数段落間の関係、あるいは改行時の1文字下げから、「事実」と「解釈」の分離など、様々な規範が存在します。そういった規範を具体的に身に着けていくことで、「自分の考え」を「アカデミックな基準」に則った形で執筆することが可能になります。
「フォーマット」は、ある意味で、書くうえでの制約でもありますが、まずそうした制約を学び、その規則を理解したうえで、その制約を超える跳躍をそれぞれの受講者が成し遂げることを目指します。

 

(3)各受講生にあった「過去問想定演習」

「論述対策講座」は2コマ連続の授業です。1コマ目は、上述の「フォーマットの確立」のためのレクチャーを実施します。それに対し2コマ目では、毎回、実際の院試で出題された過去問に基づいて、大学院入試を想定した演習を実施します。重要なのは、「それぞれの受講生が目指す大学院の専門問題の類題を解答する」ということです。つまり演習時に受講生全員が一律で共通問題を解答するのではなく、各自の専門の問題を選択し演習を行うことができるため、より実践的に、各自の志望する大学院への対応を目指します*。
*ただし、より開かれた形で実施する、春期集中特別公開講座の「論述対策 ガイダンスと演習」では、大学入試の「小論文」のレベルで、専門知識を問わない出題を扱います。また、春学期以降も、専門の学習に自信が無い人のために、専門知識は必要無いタイプの出題も織り交ぜて実施していきます。
「書く力」は何よりもまず、実践的に「書く」ことによってしか身に着けません。毎回、決められた時間の中で、院試を想定した問題をしっかり解答していくことが、大学院入試専門試験における論述問題対策に最も効果的です。

 

(4)答案への丁寧な添削

受講生の皆さんが「論述対策講座」の演習で書き上げた答案は、毎週、担当講師が丁寧に採点・添削して返却します。「添削」といっても、日本語の直しや誤字脱字の指摘に留まりません。論じ方・論の構成に始まり、出題の解釈や引用文の理解が十分か、知識として提示しているものがあっているかどうか、それは院試で提示するのに十分な専門性があるかどうか、事実の提示の仕方はどうなのか、あるいはさらに、具体例からもっと引き出すことができるものがあるかどうかまで、多岐にわたってコメントをつけています*。
*担当講師の話では、1人の答案添削に対して、約45~60分ほど必要だとのことです。

 

(5)「論述対策講座」のレベルは?

最後に「論述対策講座」のレベルは?という点について説明します。しばしば、「自分はちゃんと小論文の勉強もしたことが無いし、ついていけるのかどうか」というご相談を頂きます。これについて言えば、「みんな大抵同じ状況です」というのが答えでしょう。もちろん大学入試の段階で「小論文」という科目を体験されている方もいらっしゃるでしょうが、多くの人が「小論文はどうも苦手…」という状態で大学に入学しています。
加えて、大学院入試の場合、時間制限があるなかで、何も参考書を用いずに、かつ専門的な内容について論じるといった試験はほとんどの人が未体験です。「論述対策講座」は「みんな初心者」という前提からスタートして、しっかりと院試に対応する力を身に着けていきます。

 

備考

・「論述対策講座」は「特別講座」です。本科生の場合、単科生受講料の半額で受講できます。詳しくは「入学に関する面談」で担当者から説明いたします。

・「研究計画書」に関する各受講生への具体的な作成の助言・添削は「研究指導」のシステムを利用して実施しますが、「論述対策講座」のレクチャーの中でも、研究計画書の書き方は取り上げています。

 

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外国語設置講座一覧(2024年度)

昴教育研究所の語学講座について

昴の英語・フランス語の授業*は、「レベル別」ではなく、大学院入試の語学科目に対応するための様々なアプローチを組み合わせて構成されています。受講は1学期・1科目から可能ですが(→「本科生と単科生」ページ参照)、一方で、できるだけ複数の科目を組み合わせて受講することで、院試準備期間で効果的に学力を向上させることができます。
*ドイツ語の授業はすべて「オーダーメイド講座」で実施しています。

英語・フランス語のいずれの科目も原則的に、春学期10回、夏学期5回、秋冬学期15回の年間30回の授業を同一曜日・同一時間に実施します。(日程等の変更がある場合はお知らせいたします。)

以下は昴教育研究所で行われている語学講座(英語・フランス語・ドイツ語)の概要です。

 

英語

① 「英語基礎」 オンライン授業(録画)

英語を正しく読むための、英文法の基礎知識を身につけるための講座です。大学院入試と言っても、まず必要なのは英語を作るルールの理解。短文和訳の練習を通じて、「わかったつもり」を無くし、ルールに基づいた英文読解力を身につけましょう。授業は完全予習式です。

 

② 「英語院試問題演習A/B*」 対面・オンライン(録画)授業
A 日曜日10:30~13:10/B 日曜日16:40~19:20

昴の英語授業において中核となる授業です。院試を想定した英語の問題を演習式で解答・提出してもらい、その後、講師による解説を実施します。あわせて、提出していただいた答案は採点・添削して翌週に返却します。演習直後に解説を行うことで、間違えたところ、わからなかったところの原因を即座に理解し、翌週の答案返却で、現在の自分の学力を確認することができます。
さらに過去の受講生のデータから、合格に必要な得点目安もわかります。本科生はもちろん、単科生で学習する方にもお勧めの科目です。予習不要の完全演習式です。
*AとBは同一の科目です。時間のご都合に合わせて選択してください。

 

③ 「英語構文」 オンライン授業 (録画)

院試で点差がつくような難易度の高い構文や、うっかり忘れてしまう構文などに焦点を当てた科目です。1段落の半分くらいのサイズの英文を取り扱い、準動詞の盲点や複雑な関係詞節、仮定法、比較、倒置・挿入など、英語学習者が苦手とする部分を徹底的に学習します。授業は予習と演習を組み合わせた形で実施します。

 

④ 「英語読解」 オンライン授業 (録画)

大学院入試を想定した英語の問題を丁寧に読解していきます。授業は完全予習式で実施するため、英語に自信が無くても、事前にしっかりと準備して授業に臨むことができます。

 

⑤ 「英語ライティング」 オンライン授業(録画)

大学院入試の英語筆記試験の主流は「英文和訳」や「説明・要約問題」などの読解問題が中心ですが、東京大学総合文化研究科や、各大学の英語英米文学や国際系の大学院の試験では「和文英訳」や「和文英要約」、「課題作文」のような形で、「英語を書く力」も問われます。
そのため、昴の「英語ライティング」の授業は院試における「英語を書く」試験に広く対応するものとして実施しています。授業では和文英訳を中心に英語を書くための規則を確認し、ときに、テーマを与えてまとまった英語の文を書く課題などを行うことで、日本の英語学習者が苦手とする「英語を書く」力を身につけていきましょう。

 

フランス語

① 「フランス語基礎」 オンライン授業(録画)

大学院入試に必須の、基礎的なフランス語の文法や活用などを扱います。
フランス語初学者や第二外国語として学んだけれどかなり忘れてしまったという方、ある程度学習が進んだ方でも見落としがないようにフランス語の基本を学び直し、1年間の授業を通じてフランス語の基本的なルールを学んでいきましょう。

 

② 「フランス語構文」 オンライン授業(録画)

この講座は多くの方に、「本当に役立った」と言ってもらっている講座です。フランス語の文を読むうえでは、単語と文法だけでは足りません。「成句」つまりフランス語でよく使う言い回し、定型的な表現などをこの授業で学習し、大学院入試に備えましょう。

 

③ 「フランス語読解」 オンライン授業(録画)

大学院入試に必須の仏文和訳を、実践的に学ぶ講座です。大学院入試を想定した教材でフランス語をより深く理解する力、実際の試験に対応できる力を身につけましょう。
春・夏学期は事前に渡したテキストで予習をしてもらい、秋冬学期は実践的に、その場で答案を作る演習の形を実施します。
大学院入試の突破を目指して、しっかりとしたフランス語力を養っていきましょう。

 

④ 「オーダーメイド講座」 対面・オンライン授業

ご希望の方には講師と1対1でのオーダーメイド講座(対面・オンラインどちらも可)を行っております。フランス語を1対1で集中的に学びたい方、フランス語の理解をより深めたい方におすすめです。
※担当講師と受講生で事前に実施日時を相談してから行います。

 

ドイツ語

・「オーダーメイド講座」 対面授業

現在、ドイツ語はオーダーメイド講座(対面)のみ実施となっております。講師と1対1でドイツ語を集中的に学びたい方、ドイツ語の理解をさらに深めたい方におすすめです。
※担当講師と受講生で事前に実施日時を相談してから行います。

 

昴教育研究所では受講を検討されている方に入学前の面談を実施しています。(面談後、ご希望の方は上記講座の体験受講も可能です)
受講についてより詳細な内容が知りたい方はこちらからお問い合わせください。

 

(上記は2024年度の募集内容です。)

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東京大学 人文社会系研究科 受験対策について

昴教育研究所・言語文化研究所の英語・論述・研究指導担当の高橋です。

本日は、東京大学大学院、人文社会系研究科の入試対策についてご紹介します。

東大人文社会系2019年度の募集要項掲載ページ(外部サイト)

以下、6つの項目にわたって記します。
(1)東大 人文社会系研究科、近年の入試制度・特に日程面の変更に関して 
(2)東大 人文社会系研究科の組織と入試システム 
(3)東大 人文社会系研究科、語学試験の特徴(英語を中心に)
(4)東大 人文社会系研究科、語学試験の難易度 
(5)東大 人文社会系研究科 専門試験対策 
(6)研究計画書および卒業論文に代わる論文について

(1)東大人文社会系研究科、近年の入試制度・特に日程面の変更に関して 
まず、同研究科の近年の入試制度の変更について記しましょう。
・夏季入試の一部導入
長年にわたり、同研究科の入試は冬季(1~2月)のみ実施されてきました。これに対して、2018年度(2017年)入試より、一部の専門分野で夏季入試(8~9月)が導入されています。

・冬季入試の日程変更
もう一点、重要な変更は、2019年からの冬季入試の日程変更です。従来冬季入試は、センター試験の翌週土曜日に一次試験が実施されていました。そして、同日には総合文化研究科の文系4専攻+人間の安全保障の試験も実施されていました。したがって当然、人文社会系と総合文化の両方を受験することができませんでした。これが、2019年度には、一次試験の日程が変更され、総合文化研究科の試験日と別の日に実施されました。つまり、総合文化研究科と人文社会系研究科の併願が可能になったのです。東京大学の大学院ならなんでも良い、と無闇に併願するのは決して推奨しませんが、両大学院は比較的似た領域を扱うことができ、どちらの大学院でも研究ができる人にとっては、チャンスが増えた、と言えるでしょう。
(この措置は10年ほど前に一度実施されています。その翌年からはまた同日に戻りました。したがって、来年度も別日程が維持されるかは現時点では見通すことはできません。)

上記のような変更は、受験生の増加を目指した変更だと推測できます。ただし、これは入試が簡単になったということは意味しません。むしろ、「入試を簡単にしない」ための措置だと考えられます。従来の厳しい基準を維持したまま、入学者の数を確保するために取られた措置だと考えるべきでしょう。

実際、志願者数は364名(2017年度)から405名(2018年度)へと増加していますが、入学者数*は逆に、128名(2017年度)から113名(2018年度)へと減少しています**。
*入学者数と合格者数はほぼ近い数字である、とみて差支えありません。
**東京大学人文社会系および総合文化研究科(文系)においては、「定員」はあくまで目安で、実際の合格者はそれより少ないです。たまに予備校等の大学院入試情報サイトで、「受験者数」と「定員」から「倍率」を割り出して、あたかも大学院入試が容易であるかの如く宣伝しているのを目撃しますが、そのような「まやかし」に惑わされることなく、情報を取捨選択しましょう。

(2)東大人文社会系研究科の組織と入試システム 
東大人文社会系は、基礎文化研究専攻、日本文化研究専攻…etc.というかたちで7つの専攻に分かれています。ただし、院試という点では、この単位にはそれほど意味はありません。語学は共通試験*を実施し、専門試験は「専門分野」ごとに実施されます。二次試験の面接でも、基本的にはこの「専門分野」の所属の先生方が出席されることが多いようです(いくつか例外の報告もあります)。
*英語英米文学、フランス語フランス文学のような各国文学の専門分野では、専門問題の中に当該言語の語学試験が出題されます。詳しくは次の項目をご覧ください。

(3)東大人文社会系研究科、語学試験の特徴(英語を中心に)
一部の専門分野、および、文化資源学・文化経営学の≪社会人特別選抜≫を除いては、2つの外国語の試験を解かなければなりません。また、「英語英米文学」など、ある特定の言語地域の言語や文学を対象とする専門分野では、専門問題の中に、独自の問題を含めてあり、そのため、人文社会系の外国語共通問題で当該言語の試験は実施されていません。

上記のような各国文学の専門分野では、難解な文章を短時間で日本語訳することや、その言語でまとまった量の文章を書く表現力などを問うことが多く、難易度はかなり高いと言えるでしょう。

さて、共通問題の分析に戻りましょう。私は英語の担当なので、英語の問題を中心にご紹介いたします。まず基本的な形式は、英語長文の下線部を日本語訳する問題が、2問出題されます。英語で書く出題は少なくとも、過去30年は出題されておりません。

出題の傾向としては、2008年度までと2009年度以降で大きく変化がありました。2008年度までは、訳出箇所の量が少なく、そういった中で、「仮定法条件節中のifの省略」や、「no比較級を利用した構文」、さらに「文の中間に修飾語句が挿入された形」など、構文の把握で失敗すると大きく減点を受ける内容が出題されていました。一見すると、「簡単」にも見える試験ですが、英語の教師からすると、「点差が大きく開きやすい」「一つのミスが大きく影響を及ぼす」問題と感じます。

2009年度以降は、出題の量が徐々に増えていき、一時期は、解答時間内に解くのが苦しいくらいまでに増加していました。その傾向は2017年度まで続き、2018年度夏季入試からは、少し分量の厳しさが緩和されています。また、2017年度までは毎年のように、物語文(小説など)が出題され、その多くは、第二次世界大戦前、あるいは19世紀後半の文章に由来するものでした。しかし、2018年度夏季および2018年度冬季はそのような出題が出されておらず、まだ公表されてはいませんが、2019年度の夏季・冬季入試とも、物語文は出題されなかったようです。これは注視していくべき傾向ですが、受験者は、物語文が出題されても、慌てずに、文法を最優先して解答を作成するように心がけましょう。(「どこを舞台にしたいつの物語かもわからず、かつ語り手のジェンダーもわからない」物語文において、安易に「文脈」などと言い出すのは大失敗の元です。)

以上のような変遷を経つつ、現在の出題は、標準的でバランスが取れた出題と評価できます。文章内容は、「ウィリアム・ジェイムズの評伝」(2018夏)、「大規模気候変動が国際社会にもたらす影響」(2018夏)、「意志決定をめぐる心理学的考察」(2018夏)、「技術変動がもたらす教育の変化をめぐるユートピア的思考の批判」(2017)など、特定の専門領域に偏らず、しかし読み応えのある、面白い内容の出題が多いです。下線部は、英文法・熟語・語彙についての基礎的・標準的な知識を問う箇所から、しっかりとした構文把握をしないと大きく誤ってしまう箇所まで、上手にバランスを取って、受験者の英語力の正当に評価しようとするものです。

(4)東大人文社会系研究科語学試験の難易度 
これも英語中心になってしまいます。ただ、フランス語の先生のお話では、フランス語について「東大、総合文化研究科よりは文章の難易度は高くない」とのことでした。そしてこの点は、おおむね、英語についての私の評価とも一致します。

ただし、過去のデータから、一次試験の突破に要求される得点率は、かなり高いものがある、と感じています。実は専門分野によっても、語学試験でのハードルは少し異なっているのですが、それでもおおむね、私の採点では、第一外国語に関して、標準的な専攻では、70%~75%は超えたいし、よりハードルの高い専攻では、80%は超えなければいけないだろう、と感じています。

また、第二外国語に関しては、上記より少し低い得点率でも許されると思いますが、決して、簡単に突破できる試験ではありません。

あくまでも、過去の限られたデータ*に基づくものですが、東京大学、人文社会系研究科は、語学に関して、一次試験の突破がもっとも難しい研究科の一つです。
*大学院入試において、信頼できる規模の「模擬試験」は存在しません。その点で言えば、昴での過去の受講生の得点や合否は、限られているけど相対的には「マシ」なデータだと考えられます。

(5)人文社会系研究科 専門試験対策 
専門試験は「専門分野」ごとに出題され、出題の内容はもちろん、その出題形式も大きく異なっています。いきなりある学問分野の「概説」「入門書」「文学史」などに飛びつくのではなく、まずは過去問を見て、どういったことが問われているのか、という点を確認することが重要です。特に、専門分野によっては、英語などの外国語で文章を読んで論じることを求められたり、論述中心の分野もあれば、実質的に、「知識」のみを問う分野もあります。

そうしたなかで、一つ特徴的なのは、「用語説明」問題での要求の高さです。
通常、多くの大学院入試では、当該分野についての用語説明は「選択式」のものが多いです。たとえば、「以下の7つの用語から3つを選択して知るところを記せ」のような形式です。それに対して、東大では、出題されたすべての用語を説明することを求められます(ちなみにたとえば「哲学」では、英語はもちろん、ギリシャ語表記の用語まで、そのまま出題されています)。

このように用語説明がハードルが高い反面、全ての用語が説明できなければいけない、とは考えない方が良いでしょう。もちろん、こうした用語説明は、ある学問分野の人々が共有しているべき事項を示すものですが、そういった要求にこたえるのは必ずしも容易ではありません。少なくとも、「大学の講義」をただ受けていただけで身につくものではありません。その点はちゃんと対策すべきである一方で、あまりそちらにとらわれて、語学や論述形式の出題への応答が甘くなってしまっては本末転倒だと思います。

(6)研究計画書および卒業論文に代わる論文について
事務局作成の、「昴の研究指導」にも書いてある通り、二次試験のために提出する「卒論相当論文」はかなり重要です。この点に関して言えば、人文社会系は、出願時に研究計画を提出し、その後*卒業相当論文を提出することになっています。このため、実質的には、研究計画は卒論相当論文によって更新されており、むしろ、卒論相当論文を改めて作成したあとの研究計画について、再度述べることが求められるようです。もちろん研究計画書を疎かにして良いわけではありませんが、本命は卒論相当論文だと考えましょう。
*夏季入試については第一次試験実施前、冬季入試については第一次試験実施後

当然ながら、人文社会系研究科に提出する卒論相当論文は、東大文学部のなかでも、研究を志す人の卒論に匹敵するものでなければならず、相当な準備を以って、かつ、細心の注意を払って執筆したものでなければいけないでしょう。こちらもかなり高い要求ですが、難関の一次試験を突破したのに、こちらの論文の不出来や努力不足で不合格になることがないように、しっかりと「勉強」と「研究」の両立を図る必要があります

夏季入試をお考えの方、なかでも、2020年度に大学4年生を迎える方は、特にご注意ください。この試験では、「卒論」か「卒論に代わる論文」の提出時期がかなり早くなっています(2019年度は8月)。大学では、「就職活動の長期化」の影響もあり、「卒業論文」への動きがかなり後ろにずれこんでいます。昴では、3月末に正式開講する「春季集中特別公開講座」以前でも、本科生への正式なお申し込みか、オーダーメイド講座の利用によって、早期にこの卒論の作成のための面談を実施しています。研究は、≪インプット→全体の計画→インプット→計画の見直し→章構成→執筆≫という試行錯誤のうえで、ようやく形になります。専攻によって8,000字、12,000字、20,000字、40,000字(20,000~40,000は研究分野にもよりますが、卒業論文相当の分量と言って良いでしょう)と、要求される字数は様々ですが、8000字で説得力のある内容の提出物を作成するにも、膨大なインプットが必要となります。ぜひ、お早目の準備を心がけてください。

昴、英語・専門論述担当 高橋

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以下は東大人文社会系研究科合格者の合格体験記の一覧です。あわせてご参照ください。

東大人文社会系 合格者の声まとめ

 

昴教育研究所の「研究指導」

昴はあなたの論文の最初の読者になります

(1)大学院入試における「研究」の重要性

大学院入試の合否を決める大きな要因としては、①筆記試験(外国語試験+専門に関する論述など)②「研究計画書」そして/あるいは「卒業論文」(あるいはそれに代わる論文)が挙げられます。昴教育研究所は、①の力を伸ばすことに加えて、②の点を徹底してフォローすることで、高い合格実績を上げています。
昴教育研究所の研究科・専攻ごとの合格実績のリンク

「研究計画書」の重要性は、よく知られています。その一方で、「卒業論文」(あるいはそれに代わる論文)の重要性は、あまり知られていません。

1~3月に実施される大学院の多くでは、「卒業論文」や、「卒業論文に代わる論文」の提出が求めらます(以下、両者をあわせて、「卒論相当論文」と呼びます)。そして、この論文は、合否に大きな影響を与えます。

(普通に考えて、2000文字の研究計画書と2万字の論文があれば、どちらの方が受験者の研究能力を判断するために重要か、というのは明らかでしょう。)

また「研究計画書」についても、それを完成させるためには、しっかりとした「研究」が必要になってきます。

昴教育研究所は、このような「研究」に対してサポートするために、「研究指導」を個別指導を利用して実施しております。
*単科生や、研究指導だけの受講を望まれる方には、「オーダーメイド講座5回セット」のご利用をお勧めしております。詳しくは、「入学に関する相談」の際にお尋ねください。
*本科生は、研究に特化したお得な「本科生オーダーメイド講座」をご利用いただけます。「入学に関する面談」の際にお尋ねください。

 

(2)「研究指導」のプロセス

実際の指導では、受講生の研究の進捗状況によってスタート地点は様々ですが、おおむね、以下のようなプロセスを経て進んでいきます。

① 受験する大学院の絞り込み、それに基づいた年間スケジュールのイメージ化

② 先行研究についての相談、把握の手伝い、テーマとしての有効性の検討など

③ 先行研究を実際にインプットしていった中での方向性の模索、軌道修正の必要の有無の検討、全体の構成や目次の作成

④ 受講生による論文の執筆、執筆されたものを読みながら、さらに改善の余地などを検討していく

⑤ 最終的な論文全体に対する添削、メールを通じた指導、大学院入試での面接にあたっての注意事項や、想定される質問や批判への応答の検討

年間を通じて、このように研究を進めていく手助けを通じて、合格の可能性を高めるとともに、一人の研究者として、独立して研究を行うことができるようになっていくための手助けを行っていきます。

 

(3)昴の「研究指導」を受けることのメリット

いくつか、実際の受講者のコメントを、「合格者の声」から引用します。(文章をクリックすると、「合格者の声」につながります。)

私は志望先とは異なる学部出身で、大学卒業は、はるか昔です。(中略)文章は書き慣れていますが、何が作文で、何が論文か、区別できていなかっただけでなく、研究計画書とは何なのかもよく分からないところからのスタートでした。
(東大人文社会系研究科 合格者の声)

論文を書き始める前は不安ばかりでしたが、高橋先生からのコメントをいつも楽しみに頑張ることができました。また、高橋先生の指導から、学部生の時の自分にはなかった研究に対する新たな視点を持つことができるようになりました。
(東大総合文化研究科 合格者の声)

また、大学院入試にあたって必要になる提出論文や研究計画の書き方について、ある意味で政治的なアドバイスがもらえるのも昴に通う利点のひとつです。(中略)自分の場合であれば、指導のおかげで論文の構成が変わり、アカデミックで読みやすくなった、つまりは受かりやすいものになったと思います。(中略)こうした指導のために自分の書いた論文を定期的に読んでもらえることも、執筆の原動力になります。
(東大総合文化研究科等 合格者の声)

現在の日本の「大学入試」の仕組みですと、「学びたいこと」と「進学先」のすり合わせが十分にできず、大学院進学を目指す多くの方において、所属学部と志望大学院や研究内容のミスマッチが発生しているのが現状です。加えて、近年では、一度「社会人」を経由してから、大学院を改めて目指す方も多いでしょう。

このような事情から、大学院入試においては、「研究計画書」や「卒論相当論文」を書くにあたっての、助言を受けられない人が多いようです。昴では、こうした受講生の方たちのニーズにこたえるなかで、様々に工夫しながら、現在の「研究指導」のシステムを形にしてきました。昴の研究指導のメリットとして、以下のような点が挙げられるでしょう。

① 研究に必要な作業がわかる
たとえば何をもって、「先行研究」と呼ぶのか、また、「先行研究」をどうやって探すのか、という点について困っている人は多いでしょう。昴の研究指導は、こういった点について、具体的な文献を挙げながら、先行研究の把握の仕方を相談していきます。もちろん、これは「先行研究」に限った話ではありません。

② 論文や研究計画書の「形式」がわかる
「形式など簡単に調べられる」と考えられがちですが、学術的な論文の「形式」は、「段落冒頭の一字下げ」というレベルから始まって、多岐にわたります。また「引用」をどのように使うか、なども広い意味での「形式」と呼べるでしょう。

院試で研究計画書や論文を審査する大学の研究者たちの中には、形式からの逸脱を厳しく見る人も多いです。ただしこれは、そうした研究者たちが過度に「形式主義」に陥っていることを必ずしも意味しません。こうした形式への準拠の要求は、「形式から逸脱しているけれど優れた論文」に出会うことがあまりにも少ないゆえに発生しています。昴でも、形式をしっかりと守ること、あるいは場合によっては、複数存在するうちのどの形式を採用するのが妥当か、を検討することで、学術的な文章表現、「伝わるように書く」ことの重要性を伝えていきます。

③ 「読者」が得られる。
このページの冒頭に、「昴はあなたの論文の最初の読者になります」という言葉を掲げさせてもらいました。合格者の声でも「自分の論文を読んでもらえること自体が楽しみ」という趣旨の記述は多いですね。

論文を執筆するにあたっては、内発的な動機づけだけでは困難です。やはり、締切があって、それに向けて執筆し、それを読む人がいる、ということが重要です。昴での研究指導は、まずもって、「読む」こと、そして「話す」ことを通じて、受講生と講師が二人三脚で、提出課題を完成させていきます。

④ 院試に要求される研究計画や論文の水準がわかる
昴では、合格者の例はもとより、一次試験に合格しながら、二次試験で不合格になってしまった例も含め、膨大な蓄積があります。そうしたなかで、院試に要求される論文の水準、さらに言えば、特定の大学院に合格するに値する論文の水準まで、かなりの程度把握しております。

これは「院試に受かる論文のノウハウを知っている」ということではありません。「研究」というのは、既存の膨大な研究を、可能なかぎり参照しつつ、同時に、そうした研究がまだ成し遂げられていないことをしっかりと探し、そこで、学術研究の世界を豊かにする営みです。簡単ではありません。だからこそ、過去の事例の積み上げから、「だいたいこの水準に達していればなんとかなるだろう」という目安を持った読者の存在が、院試に向けて研究をする皆さんの力になるでしょう。

 

(4)専門性について問題はないのか

そうは言っても、大学院入試レベルの各学問分野の知識が無ければ、大学院入試の「研究指導」は成立しないのではないか、と考える人もいるでしょう。正しい疑問です。一方昴では、かなり幅広い領域の指導に対応しております。

一つには、過去の指導を通じて、様々な学問分野の知識の蓄積があります。現在研究指導の中心になっている講師は、2000年代初頭より昴教育研究所で勤務し、様々な方の指導にあたっており、その過程で、専門書を読むなどして、広範な領域の論文を理解するための最低限の知識を持っています。

しかしより重要なことは、昴での指導は「教える」ことに主眼は無い、ということです。そうではなく、受講生との口頭および原稿の読解を通じたコミュニケーションにこそ、昴の研究指導の特徴があります。「教える」のではなく、「引き出す」ことこそ、昴の指導の特徴です。専門知識を持たない領域でも、論文を読んで「あれ、ここはつながっていないぞ」とか「こんなことを言えるのか?根拠(参照文献)が足りないのではないか」など、研究計画・卒論相当論文の問題点に気づくヒントは様々に存在しています。

実際に、どのような形でお手伝いが可能であるかについては、一人一人の研究希望テーマ(「まだテーマが十分に決まっていない」という方も大歓迎です。何を学びたいのか、という点も、重要な相談事項と言えます)や進捗状況によっても様々に異なっています。ぜひ「入学に関する相談」の際に、現在の状況を率直にお聞かせください。

 

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